死票

死票とその代表法の関係

選挙における死票（しひょう、英: Wasted vote）とは、投票が行われたにもかかわらず、当選者がその票を代表しない場合に発生する票を指します。一般的には、落選した候補者に投じられた票も死票に分類されることが多いですが、これは代表法の種類により異なります。

代表法と死票の発生

選挙制度において、死票がどのように発生するかは用いられる代表法によって大きく変わります。代表法には主に「多数代表法」、「少数代表法」、そして「比例代表法」の三つがあります。

多数代表法

多数代表法は、選挙区における多数派の意見を議席に直結させる目的で設計されています。この方法の典型的な形式が小選挙区制であり、ここでは特に候補者間の支持が拮抗する場合に死票が増加しやすいことが特徴です。具体的には、候補者の支持が均等に分散していると、当選者が選出されても、その候補に投票した有権者の票の多くは無駄になってしまいます。

少数代表法

少数代表法は、少数派の意見も議席に反映することを重視しています。この方法には大選挙区制や連記制が含まれ、一般的には死票が少ない傾向にあります。しかし、少数代表法でも、特定の多数派の候補者に票が集中すると、当選に必要な票数を超えた分は死票となり得ます。したがって、政党間の戦略が選挙結果に与える影響は無視できません。

比例代表法

比例代表法は、有権者の意見をできるだけ正確に議席に反映することを目指します。この制度では死票が少なくなる傾向があり、特に単記移譲式では有権者の意向をより多く反映することを志向しています。一方で名簿式は政党の支持勢力を議席数に反映させることに重点を置いており、票の分布に応じた当選者を決定します。

各国の選挙制度

日本の選挙制度

日本では、1996年から導入された衆議院議員選挙の小選挙区比例代表並立制において、比例名簿の重複候補が復活当選することが可能です。この場合、復活当選した候補者への票は基本的に死票とはみなされませんが、政党の視点からは議席に結びつかないため、実質的には死票となることもあります。特に、2000年の衆院選以降は、重複候補が全員落選した場合に比例議席を失うこともあり、選挙の戦略が議席数に直接関わる場合が多くあります。

アメリカ合衆国の選挙制度

アメリカ合衆国の大統領選挙では、共和党と民主党の二大政党以外の候補者への投票はほぼ確実に死票になってしまうとされています。過去には、ジョージ・ウォレスやロス・ペローのような第三勢力の候補者が注目を集めた事例もありましたが、一般的に大手政党の候補者が当選する傾向が強いため、少数派の票が無駄になることが多いです。

以上のように、選挙制度は死票の発生に直接的な影響があり、その結果として有権者の意見がどの程度反映されるかも変わります。選挙制度の選択は、民主主義の実現において非常に重要な要素と言えるでしょう。

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