死闘の伝説

死闘の伝説

『死闘の伝説』は、1963年公開の日本映画。木下惠介が監督・製作・脚本を務めた。

あらすじ

舞台は太平洋戦争末期の北海道の寒村。園部一家は、戦火を逃れこの村に疎開していた。娘の希恵子に、村長の息子である吾一との縁談が持ち上がる。家族はこの村で平穏に暮らしたいと願う一方、吾一の粗暴な性格を知る希恵子は乗り気になれない。長男の秀行が戦地から帰還するが、彼は大陸戦線で吾一の残虐行為を目撃しており、縁談に強く反対する。

やがて、園部家は村で孤立していく。そんな中、猟師の信太郎とその娘ユリだけが、園部家に理解を示す。秀行は、仙台へ向かう際、見送りに来たユリに淡い恋心を抱く。

ある日、希恵子は森で吾一に襲われる。そこへユリが駆けつけ、吾一を制止する。危機を脱した希恵子は、ユリを助けようとして吾一を石で殴ってしまう。吾一の死は村中に広まり、村人たちは暴徒と化し、園部家や信太郎を襲撃。則夫、梅乃、慎太郎らが殺害される。

たまたま帰宅した秀行は、事態を収拾しようと奔走するが、その時、ユリが銃弾に倒れる。ユリの必死の言葉で、村人たちはようやく冷静さを取り戻す。しかし、戦いは終わりを告げたものの、秀幸の声がユーリを呼び続け、ユーリは悲しむ。物語は、日本の降伏2日前に起きた出来事として幕を閉じる。

キャスト

園部梅乃：毛利菊枝
園部静子：田中絹代
園部黄枝子：岩下志麻
鷹森剛一：菅原文太
園部範雄：松川勉
園部篝：岡田可愛
清水信太郎：加藤嘉
清水百合：加賀まりこ
鷹森金兵衛：石黒達也
園部秀行：加藤剛
源さん：坂本武
林巡査：野々村潔
校長：明石潮
酔っ払いの親爺：浜村純
親爺の女房：大塚君代
山ノ助：花沢徳衛
熊吉：青木猛
正太：小瀬朗
助役：竹田法一
警部補：中田耕二
巡査：青山宏
年寄り：小林十九二
中国人老婆：水木涼子
中国人娘：江美しのぶ
男：川村禾門

スタッフ

監督・製作・脚本：木下惠介
製作：白井昌夫
撮影：楠田浩之
音楽：木下忠司

解説

『死闘の伝説』は、戦争の狂気と、それに翻弄される人々の姿を痛烈に描いた作品である。人間のエゴイズム、集団心理の恐ろしさ、そして絶望的な状況下でも失われない愛と希望を、木下惠介監督ならではの視点で描き出している。加賀まりこの映画デビュー作としても知られている。

参考文献

『新編 天才監督木下惠介』 論創社、2013年　ISBN 978-4846012472

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