殺しの免許証

殺しの免許証：ジェームズ・ボンド不在の影で繰り広げられるスパイ劇

1965年、イギリスで製作されたスパイ映画『殺しの免許証』（原題：Licensed to Kill）は、日本ではあまり知られていませんが、007シリーズとは一線を画す独特の魅力を持つ作品です。アメリカでは『全世界で2番目に優れた秘密諜報員』（The Second Best Secret Agent in the Whole Wide World）という、よりキャッチーなタイトルで公開されました。

本作の監督はリンゼイ・ションテフ、主演はトム・アダムスが務めます。物語は、スウェーデンの科学者が開発した画期的な反重力装置が、悪の組織によって狙われることから始まります。科学者と彼の娘は、次々と暗殺未遂に遭いながら、この装置をイギリスに持ち込もうとします。

しかし、その時、かの有名なジェームズ・ボンドは不在。イギリス政府は、急遽、元数学者で諜報員のチャールズ・バイン（トム・アダムス）に、科学者父娘のボディーガード、そして必要とあらば暗殺者としての役割を託します。バインは、卓越した知性と機転を活かし、数々の危機を乗り越えながら、反重力装置を守るため、そして陰謀の背後に潜む黒幕を暴くため、命懸けの戦いを繰り広げます。

この映画の見どころは、007シリーズのような派手なアクションシーンよりも、知略を巡らせた緊迫感あふれる展開にあります。数学者としての頭脳明晰さを武器に、敵を出し抜くバインの姿は、従来のスパイ映画とは異なる魅力を放ちます。また、サミー・デイヴィスJr.が歌ったアメリカ公開時のテーマソングは、『裏切りのサーカス』でも使用されており、作品の世界観をさらに深める重要な要素となっています。

日本では、1970年にNET（現テレビ朝日）の『土曜映画劇場』、1974年にはTBSの『月曜ロードショー』で放映され、一部の映画ファンには知られた存在ではありますが、その知名度は決して高くありません。しかし、007シリーズに飽きたり、違ったタイプのスパイ映画を求める方には、特におすすめしたい作品です。

本作は、公式ウェブサイトである映画.com、allcinema、KINENOTEなどで情報を閲覧できます。また、IMDbやRotten Tomatoesなどの海外サイトでも、英語で詳細な情報が確認できます。これらのサイトでは、キャスト情報、スタッフ情報、あらすじ、レビューなど、作品に関する様々な情報を網羅しています。

『殺しの免許証』は、派手さよりも緻密な策略と知的な駆け引きが中心の、隠れた名作スパイ映画と言えるでしょう。ジェームズ・ボンドとは異なるタイプのスパイの活躍に興味のある方は、ぜひ一度鑑賞してみてください。その巧妙なプロットと、予想外の展開にきっと魅了されるはずです。独特の雰囲気と、サミー・デイヴィスJr.のテーマソングも、作品の魅力を高めています。

もう一度検索