殻都市の夢

鬼頭莫宏『殻都市の夢』

『殻都市の夢』は、鬼頭莫宏が『マンガ・エロティクスF』で不定期連載していたSF[[漫画]]作品。作者の代表作の一つとして知られ、様々な「愛の形」をテーマにしたオムニバス形式で物語が展開されます。

制作背景

もともとは読み切りとして発表された「誕生日の棺」が発端となり、そのキャラクターを再利用したことからシリーズ化が決定。作者自身もシリーズであることを知らなかったというエピソードがあります。緻密な世界観でありながら、メカなどの構造は作者自身も「よくわからない」と考えながら制作されたとのこと。

2024年には完全版が刊行され、新たなエピソード「素粒子の澱」が追加。生原画展も開催されるなど、現在も注目を集めています。

あらすじ

物語は、都市の上に都市を重ねて建造された巨大都市「外殻都市」を舞台に展開されます。その下層部は老朽化が激しく、崩落が日常茶飯事。管理官として働く女性と男性を中心に、都市で起こる様々な出来事が描かれます。

登場人物たちは名前を持たず、「女管理官」「男管理官」など、便宜上の名称で呼ばれます。彼らは職務を通じて、クローン技術、性病、ゾンビ、媚薬など、様々な問題に直面し、それぞれの「愛」の形を見つめていきます。

主要な登場人物

女管理官: 黒髪ショートカットの女性。外殻都市の管理官として、様々な事件に関わります。物語の終盤では、ある出来事をきっかけに汚染都市市民として登録されてしまいます。
男管理官: 女管理官の相棒。規則違反を承知で丙種遺体の男に協力するなど、人情に厚い一面を持ちます。過去には媚薬水の少女と関わりがあったことが示唆されています。

各話の人物

各エピソードには、様々な背景を持つ人々が登場します。

妻のクローンを作る男: 別居した妻のクローンを作成し、外界との接触を絶って暮らしています。
通報する妻: 夫に自身のクローンを作られ殺されていると通報します。
12歳の少女: 通報した妻のクローン体で、12歳の誕生日を迎えた日に殺される予定でした。
路上生活の少女: 餓死寸前のところを男に助けられますが、性病に感染してしまいます。
性病を患った男: 路上生活の少女を助け、性病を感染させます。彼女に文字を教え、静かに息を引き取ります。
丙種遺体の男: 戦死後、ゾンビとして蘇り、離婚した妻に会いたいと願います。
媚薬水の少女: 地下生活者で、媚薬水を求める少年の世話をします。
媚薬水を探す少年: 友人たちと媚薬水を探しに地下へ向かいます。男管理官に似た容姿をしています。
修繕箇所の調査者: 地下構造の修繕箇所を調査している男性です。
崩落箇所の調査者: 下部階層の崩落箇所を調査する仕事に就いています。
謎の少女: 崩落箇所に現れる、素性の知れない少女です。
少女たちを監視する男: 富裕層の少女たちを誘拐し、ガラス張りの構造体の中で監視しています。
渉猟子の少女: 生きた書庫として、外殻都市で発禁に指定されている本を暗記しています。
渉猟子を買った男: 愛玩家具として渉猟子の少女を買いました。
外殻都市の語り部: 外殻都市で起きた出来事を人々に語り継いでいます。

世界観

外殻都市: 都市の上に都市を重ねる形で成長した巨大都市。下層部は老朽化が進み、崩落が頻発しています。
丙種遺体: 外殻都市で稀に発生するゾンビ。都市民にはその存在が隠されています。
渉猟子: 金持ちの道楽で作られる生きた書庫。多くの書物を暗記しています。

『殻都市の夢』は、独特な世界観と魅力的なキャラクターたちが織りなす、深く考えさせられる作品です。ぜひ一度手に取ってみてください。

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