比奈守神社

比奈守神社

岐阜県岐阜市に鎮座する比奈守神社（ひなもりじんじゃ）は、古代律令制下で定められた「式内社」の一つ、「美濃国厚見郡比奈守神社」に比定される論社の一つです。この式内社については、同じく岐阜市内に鎮座する手力雄神社もまた論社とされており、どちらが本来の社であるかについては諸説あります。現在の比奈守神社は、かつての上茜部城のほど近くに位置しています。

由緒と歴史

比奈守神社の創建に関する正確な時期は不明であり、その起源には謎が多いとされています。社名の「比奈」については諸説ありますが、有力な説としては、かつて飛騨や夷（えみし）を指す言葉であり、大和朝廷にとっての辺境、すなわち国防の最前線を守るための重要な地点であったとする見方があります。

特に、飛騨方面からの攻撃に対する備えの拠点であったとする説が知られています。しかし、神社の鎮座地は、地理的に尾張国との境をなす境川（安土桃山時代以前には木曽川の本流であった）から直線距離で約1200メートルとほど近い場所に位置しており、この地形的な特徴から、むしろ尾張方面からの夷に対する守りの拠点であった可能性も指摘されています。いずれにせよ、古代においてこの地が国防上重要な意味を持っていたことを示唆しています。

歴史を紐解くと、比奈守神社は戦乱の犠牲となってきました。特に明応4年（1495年）に起こった船田合戦の兵火により、社殿は惜しくも焼失してしまいます。この戦禍により、創建された正確な年代や、その詳細な由来に関する記録は失われ、不詳となってしまいました。また、度重なる戦乱によって周辺地域から住民が離散したため、焼失後すぐに再建されることはありませんでした。現在の社殿が造営されたのは、それから時を経て元禄年間（1688年～1704年）以降のことです。

現在の境内の建造物のうち、本殿は元禄期以降に造営されたものですが、それ以外の建物、例えば拝殿などは、比較的新しく、昭和50年（1975年）以降に再建されたものです。

江戸時代には「飛田森神社」という名称で呼ばれていましたが、明治6年（1873年）になり、本来の社名とされる「比奈守神社」へと正式に戻されました。

祭神

比奈守神社では、以下の神々を主祭神として祀っています。

応神天皇
神功皇后

ただし、古来より下照比売命や大碓皇子を祀っていたとする説も存在します。

交通アクセス

比奈守神社へのアクセスは、公共交通機関を利用する場合、岐阜バスが便利です。

* バス利用：岐阜バス茜部三田洞線に乗車し、「上茜部」バス停で下車してください。バス停からは徒歩約8分で神社に到着します。

JR岐阜駅バスターミナル（岐阜駅北側）の4番のりば、または名鉄岐阜のりば（名鉄岐阜駅西側）より、「E70 下佐波」「E71 高桑」「E72 県自動車会館」行きのいずれかのバスをご利用いただけます。

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