毛利師就

毛利師就

毛利師就（もうり もろなり）は、江戸時代中期の武士で、長門国長府藩の第7代藩主です。第6代藩主・毛利匡広（もり ただひろ）の五男として生まれました。母は下村氏（相子、超俊院）。諱は初め親就（ちかなり）と名乗っていましたが、後に師就と改めました。

生涯

父・匡広が毛利元平と名乗り、清末藩主であった時代に生まれます。5男でしたが、兄たちが次々と早世したため、父が長府藩主となると、師就が世子となりました。

享保10年（1725年）7月28日、師就は江戸城の松の廊下で、信濃松本藩主・水野忠恒（みずの ただつね）に突然斬りつけられるという事件に遭遇します。忠恒は狂乱した状態で、師就に襲い掛かりました。師就はとっさに鞘刀で応戦し、忠恒の刀を打ち落とすなど、必死に抵抗しました。

この時、師就は右手、左耳、のどなどに傷を負いましたが、幸いにも一命を取り留めます。近くにいた戸田氏房（とだ うじふさ）が忠恒を取り押さえ、目付の長田元鄰（おさだ もとちか）が師就を制止、さらに栗崎道有（くりさき どうゆう）と成田宗庵（なりた そうあん）が師就の傷の手当にあたりました。事件後、忠恒は乱心により改易処分となり、水野家は没落。一方、師就は正当防衛が認められ、お咎めなしとなりました。

事件の原因は、水野家が改易された後、その所領が師就に与えられるという噂を忠恒が信じたためであるとされています。

享保14年（1729年）に父・匡広の死去により家督を継ぎ、長府藩の藩主となりました。藩主就任時、弟（七男）・政苗（まさなえ）に1万石を分知し、清末藩を再興させています。

藩主として領地を治める中で、城下における火災が頻発し、さらには風水害にも見舞われるなど、藩財政は悪化の一途を辿りました。そのため、師就は防火体制の強化に力を注ぎました。

享保20年（1735年）4月22日、30歳という若さで死去しました。跡は弟（十男）で養嗣子の匡敬（ただたか）（のちの宗家長州藩主・重就（しげなり））が継ぎました。法号は聖諦院殿廓心勇然大居士。墓所は下関市長府の笑山寺と、同市長府宮崎町の豊功神社にあります。

系譜

父：毛利匡広（1675-1729）
母：相子 - 超俊院、下村氏
正室：寧子（1715-1757） - 心涼院、毛利吉元の娘
側室：春光院（?-1734） - 林氏
長男：毛利教逵（1727-1744）
養子：毛利匡敬（重就）（1725-1789） - 毛利匡広の十男

参考文献

福留真紀『名門水野家の復活 御曹司と婿養子が紡いだ100年』（新潮社〈新潮新書〉、2018年）

関連項目

下関市
毛利氏
長州藩

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