毛利匡広

毛利匡広：長府藩再興と藩政改革に尽力した大名

毛利匡広（もうり まさひろ）は、江戸時代前期から中期にかけての大名で、長門国長府藩の6代藩主を務めました。清末藩初代藩主・毛利元知の次男として生まれ、初めは清末藩の2代藩主として毛利元平（もうり もとひら）を名乗りました。

清末藩主としての初期

延宝3年（1675年）に長門国豊浦郡清末で生まれた匡広は、天和3年（1683年）に父・元知の死去に伴い清末藩主となりました。この時代の名乗りは元平でした。

長府藩主への転身と藩政

享保3年（1718年）、萩藩主・毛利吉元の要請により長府藩が再興されると、匡広は旧長府藩領のうち3万8千石を分地され、長府藩主となりました。この背景には、吉元が長府毛利家から宗家（萩藩主）を継いだという事情がありました。吉元は当初、長男と三男にそれぞれ家督を継がせる予定でしたが、三男の早世により、長府藩主となっていた元朝を自身の後継ぎとして迎え、代わりに弟の元矩を長府藩主に据えました。しかし元矩も早世したため、血縁的に近い元平に白羽の矢が立ったのです。

長府藩主となった元平は、諱を匡広と改めました。「匡」の字は、祖先である大江匡衡や大江匡房の偏諱に由来します。この字を使用した長府藩主は、吉元の弟である毛利匡英・匡以に続き3人目であり、歴代藩主の中では初となります（後に十男の匡敬（重就）やその子である匡満、匡芳も用いています）。

匡広の長府藩主就任により、清末藩は一時的に廃藩となりましたが、後に七男・政苗によって再興されました。また、長府藩の家格は一時的に無城に落とされましたが、後に旧来の5万石に復し、家格も城主格となりました。

享保5年（1720年）には5万石となり、藩政においては藩財政再建のために倹約令を出しましたが、享保の大飢饉により大きな被害を受け、一層の倹約を余儀なくされました。さらに農業を奨励するなどの政策も行いました。また、絵画にも通じており、自画像も残されています。

死去とその後

享保14年（1729年）9月19日、匡広は長府で死去しました。享年55歳。菩提寺は黄檗宗の覚苑寺です。跡は五男の親就（師就）が継ぎました。

系譜

父：毛利元知（1631年 - 1683年）
母：真光院 - 小笠原氏
正室：幸 - 放光院、毛利綱広の娘
子女：
女子：演暢院 - 毛利吉広の養女、有馬一準正室、毛利重広の母
五男：毛利師就（1706年 - 1735年）
七男：毛利政苗（1718年 - 1781年）
八男：毛利広定（1719年 - 1769年） - 毛利広信の養子
十男：毛利重就（1725年 - 1789年） - 毛利宗広の養子
十一男：増山正贇（1727年 - 1776年） - 増山正武の養子
女子：平姫 - 慧照院、増山正武正室

関連事項

椙杜氏

毛利匡広は、長府藩の再興と藩政改革に尽力し、その時代を代表する大名の一人として、歴史に名を残しています。

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