毛利吉元

毛利吉元：長州藩を支えた改革者

毛利吉元（もうり よしもと）は、江戸時代中期の大名であり、長州藩の第5代藩主として知られています。長府藩主・毛利綱元の長男として生まれ、その治世は藩政の安定と文化の発展に大きく貢献しました。

生涯

延宝5年（1677年）に江戸で誕生した吉元は、元禄4年（1691年）に元服し、当初は元倚（もとより）と名乗りました。宝永4年（1707年）、本家である長州藩主・毛利吉広の急逝を受けて、その養嗣子として家督を継承します。吉広と同様に、5代将軍・徳川綱吉から偏諱を賜り、吉元と改名しました。

吉元は毛利秀元系の藩主として初めて長州藩を治めることとなりましたが、この家督相続の際、血統上は毛利輝元系の毛利元次が無視されたことが、後に万役山事件を引き起こす遠因となります。

享保16年（1731年）9月13日、江戸で55歳で亡くなりました。墓所は山口県萩市椿東の東光寺にあります。その功績を称えられ、大正5年（1916年）11月には従三位が追贈されました。

藩政への貢献

吉元は藩財政の再建に力を注ぎました。5か年にわたる倹約や経費節減を徹底し、参勤交代の際の人数を削減するなど、様々な施策を実行しました。

また、文武の奨励にも尽力し、藩校・明倫館を創設しました。これにより、藩士の教育水準の向上を図りました。さらに、毛利家の家系を詳細にまとめた『閥閲録』204冊を編纂し、毛利家の歴史を後世に伝える重要な役割を果たしました。

後継者問題

吉元は当初、三男の元陳（もとのぶ）を、次に長男の元朝（宗元）を後継者に定めていましたが、いずれも吉元に先立って亡くなってしまいます。そのため、新たに嫡男となっていた五男の維広（宗広）が跡を継ぐこととなりました。

系譜

父：毛利綱元（1651-1709）
母：房姫（1653-1686） - 祥雲院、池田光政娘
養父：毛利吉広（1673-1707）
正室：品子（1685-1761） - 法林院、池田綱政娘
長男：毛利元朝（宗元）（1703-1721）
次男：斎宮（1705-1707）
三男：毛利元陳（1706-1713）
長女：皆姫（1708-1727） - 島津継豊正室
側室：桂月院 - 伴氏
四男：槌三郎（1711-1714）
側室：永昌院 - 森氏
次女：寧（1715-1757） - 心涼院、毛利師就正室
五男：毛利宗広（維広）（1717-1751）
三女：綾（1723-1730）
側室：久米子
四女：庸（1725-1727）

偏諱を与えた人物

吉元から偏諱を受けた人物として、以下のような人々が挙げられます。

毛利元朝（宗元）（長男）
毛利元陳（三男）
毛利元連（厚狭毛利家）
毛利元直（吉敷毛利家）
井原元歳
浦元敏
浦元伴
熊谷元貞
佐佐木元氏
清水元周
宍道元行
椙杜元世（元蜂/元岑）
益田元道
益田元言（元方）
福原元貞
山内元資

登場作品

テレビ朝日の「暴れん坊将軍」（第11シリーズ）では、地元出身の歌手・山本譲二が吉元を演じました。

毛利吉元は、藩財政の再建や文武の奨励を通じて、長州藩の発展に大きく貢献した名君として、歴史に名を残しています。

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