毛利次郎の乱

毛利次郎の乱

毛利次郎の乱（もうりじろうのらん）は、文明11年（1479年）と長享元年（1487年）の2度にわたって、因幡の国人である毛利貞元（次郎）が守護の山名氏に対して起こした反乱です。この抗争は、当時の因幡地域における社会情勢や権力の変動を反映しています。特に、国人が自立を求める動きが高まる中で発生したことは、地域の歴史に大きな影響を及ぼしました。

背景

文明年間において、山名氏の支配が及ぶ地域では応仁の乱の長期化が影響し、国人勢力の自立志向が強まっていました。また、同じく山名氏の傍流が反抗的な立場に立つことで、内部にも分裂が生じ、統治体制が崩壊の危機に瀕していました。

特に南因幡では、文明3年（1471年）頃からの文書によって、傍流の山名政康や山名熈成が支配基盤を築いており、政康は守護に敵対する赤松政則の勢力と手を結んでいました。さらに、この地域には独自の奉公衆系の国人が多く、守護による統制が難しい環境が整っていました。そうした状況の中、八東郡の因幡毛利氏は反守護勢力を結成し、反乱を引き起こしました。最近の研究では、この反乱には赤松氏の支持もあったと考えられていますが、室町幕府との関係の良好さからその意義には疑問も持たれています。

第一次毛利次郎の乱

毛利貞元が起こした最初の挙兵は、1479年の春頃とされています。これに対し、山名政豊は直ちに山名豊時を派遣して鎮圧を図ります。しかし、戦況は反守護連合が優位に進展し、政治的権力者である政豊自身も事態の収拾に苦しむ状況に陥ります。9月には反乱側が優勢で、守護方の劣勢が伝えられる事態まで至りました。最終的に、この乱は1480年春に鎮圧されましたが、鎮圧の詳細は不明です。何らかの形で政豊が直接関与したと推測されていますが、長期的な抵抗があったことは確かです。

この鎮圧後、毛利貞元は厳しい処罰を受けることはなく、3年後には犬追物の行事にも参加しています。このことから、毛利氏が完全に力を失ったわけではないことがわかります。また、伊勢貞宗との関係も示される文献が存在し、反乱の支援に関与していた可能性を示唆しています。

第二次毛利次郎の乱

第二次の乱は1487年に発生しました。この年、長享元年の12月28日には貞元が正式に赦免されたものの、同年7月には再び因幡での混乱が伝えられます。これを受けて、毛利氏が新たに反守護勢力を構築し挙兵します。しかし、当時の将軍足利義尚が敵対する山名政豊に対する姿勢を強固にし、状況は新たな展開を迎えます。

反乱は再び立ち上がるも、山名氏との戦闘は予想以上に困難なものとなり、最終的には反乱側が敗北しました。この時、毛利貞元の自刃や矢部氏一族の同様の運命が語られ、再び反守護連合は壊滅的な打撃を受けます。

影響

山名氏はこの2度の反乱を何とか鎮圧したものの、その結果国人勢力を完全に抑え込むことはできませんでした。実際、毛利や矢部氏などの勢力はその後も存続し、むしろこの争いを通じて自信を深めていくこととなります。また、戦国期に入ると、南因幡は政情不安定な状態が続き、次第に山名氏自体が力を失っていく結果となりました。

毛利次郎の乱は、因幡の歴史の一部として、地方の権力構造や国人の自立運動を理解するための重要な出来事として記憶されています。

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