毛利重広

毛利重広：長州藩の若き世嗣

毛利重広（もうり しげひろ）は、享保20年（1735年）に丸岡藩主・有馬寿純の次男として生まれました。初めは有馬純峯（ありま すみみね）と名乗りました。

毛利家との繋がり

彼の母である演暢院が、長州藩2代藩主・毛利綱広の外孫であったことが、重広の運命を大きく左右します。6代藩主・毛利宗広の遺言により、宗広の次女・誠姫の婿として迎えられ、7代藩主・毛利重就の養子となることが定められました。

世嗣決定を巡る対立

重広の世嗣決定には、重就自身が長男の文乃助（後の匡満）を嫡子にしたいという意向や、毛利家の男系子孫ではない養子に対する一部家臣の反対がありました。しかし、宗広の遺志を盾にした一門家老の宍戸広周や毛利広漢らの強い働きかけにより、重広の擁立が決定しました。

この背景には、5代吉元以降、毛利家当主が輝元・秀就系から秀元系に交代したことによる家中の対立も影響していたと考えられます。演暢院は両方の血を引いており、その存在が重広擁立の正当性を示す根拠の一つとなりました。

毛利家へ

宝暦2年（1752年）に毛利家の養子となり、毛利幸広（ゆきひろ）と改名。同年には9代将軍・徳川家重に拝謁し、翌年には元服して家重から偏諱を受け、重広と名乗りました。従四位下・民部大輔に叙任され、幕府においても一定の地位を得ました。

若すぎる死

しかし、宝暦10年（1760年）に26歳という若さでこの世を去ります。その死に関しては、重就の正室・登代（毛利治親生母）による毒殺の噂も流れました。真相は定かではありませんが、当時の藩内の権力争いの激しさを物語るエピソードと言えるでしょう。

毛利重広は、その若さにも関わらず、長州藩の世嗣として、また幕府の官僚として、短くも波乱に満ちた生涯を送りました。

参考資料

『寛政重脩諸家譜 第四輯』國民圖書、1923年5月31日。 
河村一郎編著『近世防長儒学史関係年表』1996年5月31日。 
* 柴原直樹 (2020年5月22日). “目で見る　毛利家あれこれ　～毛利博物館収集資料と歴史ばなし～” (PDF). ほっぷ第2部 第334号 岩国版 (地域情報新聞).

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