氏家行広

氏家行広：戦国を生き抜いた武将

氏家行広（うじいえ ゆきひろ）は、戦国時代から江戸時代初期にかけての武将・大名であり、氏家氏の14代当主として知られています。官位は従五位下・内膳正。

生涯

氏家氏は宇都宮氏の庶流にあたります。行広の父である氏家直元（卜全）は、元亀2年（1571年）に伊勢長島攻めで戦死。その後、家督は兄である直昌が継ぎ、氏家氏は引き続き織田信長に仕えました。

織田家臣から豊臣家臣へ

本能寺の変後、氏家氏は織田信孝に属しましたが、信孝が羽柴秀吉と対立すると、秀吉方へ味方し、以降は秀吉に仕えることになります。この頃、兄が病死し、天正11年（1583年）に行広が家督を継ぎ、美濃国三塚1万5,000石に移封されました。天正16年（1588年）には、従五位下・内膳正に叙任されています。小田原征伐などでの軍功が認められ、天正18年（1590年）には伊勢国桑名2万2,000石に加増移封されました。

関ヶ原の戦いと大坂の陣

豊臣秀吉の死後、慶長5年（1600年）の会津征伐では徳川家康軍に合流するため東に向かっていましたが、道中で石田三成挙兵の報を聞くと、家康に断りを入れた上で伊勢に帰還。豊臣秀頼が幼少であることを理由に、家康方・三成方いずれにも呼応せず中立の立場を取りました。しかし、桑名に西軍勢力が及んできたため、中立の立場を維持できず、やむなく弟の行継と共に西軍に与し、伊勢路を防衛することになります。このため、関ヶ原の戦い後、家康の命で改易され浪人となりました。

浪人となった行広ですが、慶長19年（1614年）からの大坂冬の陣では荻野道喜と変名を用い大坂城に入城し豊臣氏に与して活躍しました。家康は行広の器量を惜しんで仕官を呼びかけましたが、行広は応じなかったと言われています。翌年の大坂夏の陣のとき、大坂城落城と共に自刃。彼の4人の子のうち三男以外は京に逃れましたが、京都所司代の配下に捕らえられ、同年7月、妙覚寺にて自刃に追いやられました。三男のみは天海の弟子となっており、助命されています。

系譜

父：氏家直元（卜全）
母：不詳
妻：松雲院 - 京極高吉娘、京極高次の妹
女子：古奈 - 常高院養女
生母不明の子女
長男：左近
次男：内記
男子：名前不詳、出家
男子：八丸
女子：京極高次養女 - 今出川経季室

氏家行広は、時代の流れに翻弄されながらも、自身の信念を貫き通した武将でした。

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