氏家直元

氏家直元

氏家直元（うじいえ なおもと）は、戦国時代に活躍した武将であり、西美濃三人衆の一人としてその名を知られています。出家後には「卜全」（ぼくぜん）と号しました。当初は桑原直元と名乗っていましたが、後に氏家直元と改名しています。氏家氏との繋がりを示す系図も存在しますが、実際には血縁関係はないとされています。

生涯

初期

美濃国守護の土岐頼芸に仕えていましたが、斎藤道三が頼芸を追放すると、道三の家臣となりました。道三時代には、伊勢神宮の御師である福島氏との交渉役を務めていました。道三と息子である義龍との間で起きた長良川の戦いでは、義龍側についたと考えられています。

斎藤義龍時代

義龍の側近として、日根野弘就、竹腰尚光、日比野清実、長井衛安、安藤守就らと共に連署状を発行し、義龍の政治を補佐しました。義龍が永禄2年（1559年）に一色氏を名乗るようになると、桑原三河守直元から一色氏家臣の氏家常陸介直元へと改名しました。

織田信長への転身

義龍の死後、子の龍興に仕えましたが、龍興との関係は良好ではなかったようです。永禄10年（1567年）、稲葉良通や安藤守就と共に織田信長の稲葉山城攻めに内応し、以後は織田氏の家臣となりました。この頃に「卜全」と号するようになったとされています。

織田家臣として

信長の上洛に従い、永禄12年（1569年）の北畠具教が籠城する大河内城攻めや、元亀元年（1570年）の姉川の戦いにも参加し、武将として活躍しました。

最期

元亀2年（1571年）、織田信長の長島攻めの際、命を受けて伊勢国桑名郡の多度大社の本宮や摂末社、神宝、古記録、そして多度大社の神宮寺であった宝雲寺（真言宗）の伽藍を焼き払いました。その後、柴田勝家に従軍し、織田軍が撤退する際の殿軍を務めましたが、美濃石津で本願寺勢力と共に織田軍に抵抗していた佐々木祐成に討ち取られました。享年は38歳とも59歳とも言われています。岐阜県海津市南濃町安江には、彼の供養塔である「卜全塚」があります。

子孫

家督は長男の直昌が継ぎました。また、次男の行広（荻野道喜）は大坂の陣で活躍しました。

脚注

参考文献

木下, 聡『斎藤氏四代―人天を守護し、仏想を伝えず―』ミネルヴァ書房〈ミネルヴァ日本評伝選〉、2020年2月10日。ISBN 978-4-623-08808-9。

関連論文

宮本義己「美濃三人衆の去就―織田信長の美濃経略―」『歴史手帳』6巻1号、1978年。
* 吉田義治「織田政権成立過程における美濃武士団―西美濃三人衆の動向を中心に ―」『岐阜県歴史資料館報』25号、2002年。

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