民主党 (韓国 1990-1991)

韓国民主党(1990-1991)：野党再編と挫折、そして統合への道

1990年6月15日、韓国政界に新たな勢力が誕生しました。それは、民主自由党への合流を拒否した統一民主党残留派と、無所属議員らによって結成された「民主党」です。彼らは「新生野党」を標榜し、民主勢力の大同団結、党運営の改善、世代交代、野党統合という4つの原則を掲げました。

発足時は第2野党の地位にありましたが、党の中心には、国会聴聞会で活躍した朴燦鐘、盧武鉉、金光一、李哲といった新進気鋭の議員らがいました。初代総裁には、旧統一民主党副総裁で創党準備委員長を務めた李基澤が選出されました。

野党統合への挑戦と挫折

野党統合を掲げた民主党は、第一野党である平民党やその他の在野勢力との統合に向け協議を進めました。1990年7月20日には、金大中（平民党総裁）、李基澤（民主党総裁）、金観錫牧師（在野勢力代表）による3者会談が開催され、「統合授権政党」の結成で合意しました。

しかし、統合は容易ではありませんでした。特に、民主党側が金大中総裁の第一線からの後退を要求したことが、大きな障害となりました。平民党と民主党間の協議は難航し、最終的に統合は白紙となりました。この失敗は、民主党側の金大中氏に対する強い不信感を示す結果となりました。

統合失敗の責任を取り、李基澤総裁は1990年11月16日に辞任しました。しかし、民主党は野党統合を諦めませんでした。1991年2月には、「全国民族民主運動連合」元常任代表の李富栄が率いる「民主連合推進委員会」と合同し、李基澤が総裁に復帰しました。

地方選挙の敗北と統合野党の誕生

1991年6月20日、韓国では地方議会選挙（広域自治体議会選挙）が行われました。これは、1961年の軍事クーデター以来停止されていた地方自治制度復活に向けた重要な選挙でした。しかし、民主党は惨敗しました。全国で866議席中21議席しか獲得できず、得票率はわずか14％に留まりました。

この地方選挙での敗北は、民主党に大きな危機感を抱かせました。そして、新民党との統合へ向けて動き出します。両党は数回の会合を重ね、統合後の党名を「民主党」とし、金大中と李基澤を共同代表とすることで合意しました。中央党の党職配分は新民党6：民主党4の割合とされ、党外からの受け入れも合意事項に含まれていました。

1991年9月10日、金大中と李基澤両総裁は統合野党結成を宣言。11日には国会の院内交渉団体として登録され、16日には合同会議を開催し、党憲・政綱・基本政策を確定しました。こうして、金大中と李基澤を共同代表とする新たな「民主党」が誕生しました。しかし、この統合には反対する声もあり、朴燦鐘、金光一両議員ら30名以上の地区党委員長は、統合後の民主党に加わることを拒否しました。

韓国政党再編の一コマ

1990年から1991年にかけての民主党の歩みは、第六共和国前半期の韓国政党再編における重要な一コマです。野党統合の試み、地方選挙での敗北、そして新たな統合政党の誕生という、ドラマチックな展開をたどりました。この民主党の経験は、韓国の民主化と政党政治の発展を考える上で、重要な意味を持っています。その後の民主党の動向は、韓国政治史の大きな流れの中で語られていくことでしょう。

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