民主平和党

民主平和党：韓国政治における短命政党の軌跡

2018年の韓国政界において、国民の党の分裂から生まれた民主平和党は、短いながらも注目を集めた政党でした。本稿では、その成立から消滅までの経緯、党内対立、そして特徴的な対日姿勢について詳述します。

誕生の背景：国民の党分裂

第20代総選挙後、韓国国会では国民の党が第三勢力、正しい政党が第四勢力として存在していました。しかし、両党の勢力拡大は思うように進まず、合併が模索される中で、正しい未来党の設立という方向性が示されました。しかし、この統合に反発した国民の党議員14名が離党。この離党組は、全羅道地域からの選出議員で構成されており、2018年2月6日、民主平和党を結成しました。

初代代表には趙培淑氏が就任し、その後鄭東泳氏が代表を引き継ぎました。しかし、党内では早期から対立が表面化し、非主流派の離党による代案新党の結成へと繋がります。この党内抗争は、民主平和党の弱体化に大きく影響を与えました。

2020年：合流と消滅

2019年末から2020年初頭にかけて、正しい未来党から保守系議員の離党が相次ぎ、第21代総選挙を控え、政党再編の動きが活発化しました。民主平和党は、中道右派を標榜する正しい未来党、そして代案新党との協調路線を模索し、三党合流による新党結成で合意します。協議を経て、2020年2月24日、「民生党」が結成され、民主平和党は歴史の幕を閉じました。

対日姿勢：強硬な主張

民主平和党は、対日関係においても独自の姿勢を示しました。2018年11月、所属議員の千正培氏は、徴用工訴訟判決を機に、日本政府に対し、侵略の歴史認識と賠償の履行を求める公開書簡を送付する意向を表明。翌2019年1月には、党首の鄭東泳氏が、徴用工問題における日本政府の対応を内政干渉と批判し、安倍晋三首相への抗議書簡を日本大使館に提出しました。さらに、韓国海軍のレーダー照射問題についても、日本側の対応を批判する声明を発表しています。これらの行動は、民主平和党が対日問題において強硬な姿勢を貫いたことを示しています。

結語：全羅道勢力と短命政党

民主平和党は、全羅道地域を基盤とする議員を中心に構成され、韓国政治における地域主義の一面を反映した政党でした。しかし、党内抗争や合流・解党を繰り返すなど、安定した勢力基盤を築くことができず、短命に終わりました。その存在期間はわずか2年足らずでしたが、韓国政界における政党再編の動向や、対日関係における世論の複雑さを示す一例として、民主平和党の歴史を分析することは意義深いと言えるでしょう。その活動は、韓国政治のダイナミズムと複雑性を理解する上で重要な一端を担っています。

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