民生党

韓国の政党 民生党：興亡の歴史

民生党は、韓国全羅道地方を基盤とした中道政党でした。中道右派と分類されることもありましたが、社会保守主義的な色彩も強かったことから、中道左派的な傾向を持つ共に民主党とは明確に区別されていました。

民生党の成立は、韓国の政界における複雑な政党再編の過程と深く関わっています。2016年の第20代総選挙後、共に民主党とセヌリ党（後の自由韓国党）に続く第三極として台頭したのが国民の党でした。しかし、国民の党はその後、内部抗争や統合・分裂を繰り返し、政治状況は混沌としていました。

2018年には国民の党が正しい政党と統合して正しい未来党を結成しましたが、この統合に反発した議員たちが離党し、民主平和党を結成しました。さらに、正しい未来党からも保守派議員による新たな保守党や未来に向けた前進4.0といった政党が誕生するなど、第三極は複数の政党が乱立する状態に陥っていました。

このような状況の中、2020年4月の第21代総選挙を控え、政党再編の動きが加速します。新たな保守党と未来に向けた前進4.0は、自由韓国党と合流して未来統合党となりました。この流れを受けて、正しい未来党、民主平和党、代案新党の3党は合意に至り、2020年2月、新党「民主統合党」の結成を発表しました。そして、幾つかの調整を経て、2月24日、民生党が正式に誕生しました。しかし、この再編の過程で、安哲秀氏ら一部の党員が正しい未来党を離党し、新たな国民の党を結成するなど、政界再編は複雑な様相を呈していました。

しかし、民生党の躍進は長くは続きませんでした。2020年4月15日に行われた第21代総選挙で、民生党は議席を全て失うという大敗を喫しました。これにより、国会議員を擁する第三極政党は国民の党のみとなり、民生党は地方政府や地方議会にわずかな議席を残すのみとなりました。

その後、民生党の多くの党員は共に民主党や国民の力へと移籍し、民生党は事実上消滅状態に陥りました。2022年の大統領選挙では候補者を擁立することができず、同年に行われた地方選挙でも僅か2名の候補者を擁立したものの、いずれも落選。民生党は、韓国政界から完全に姿を消しました。

民生党の興亡は、韓国政界における政党の不安定性と、激しい党内抗争、そして選挙における国民の意思の反映という複雑な要素が絡み合った結果と言えるでしょう。全羅道地方を基盤とした中道政党として出発した民生党の短い歴史は、韓国政治史における一つの重要な事例として記録されています。

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