民事介入暴力

民事介入暴力（みんじかいにゅうぼうりょく）

民事介入暴力とは、暴力団が直接的またはその代理人として、民事紛争に介入し、暴力や威圧を利用して不正に金品を得る行為を指します。このような行為は一般的に「ミンボー」とも呼ばれます。1979年に日本の警察庁が設立した「民事介入暴力対策センター」において、新たに作られた用語です。

定義と法的背景

警察庁による当初の定義は、暴力団やその周辺者が、暴力団の威恫力を悪用し、一般市民の生活や経済活動に対して介入することを喊いました。具体的には、民事上の権利を持つ者や一方の当事者として介入する行為が含まれます。この過剰な介入は、威力業務妨害や恐喝といった犯罪に該当することがある一方で、法的には成り立たない場合もあるため、実際には刑事事件として立件されにくい状況が生じています。

主な手口

民事介入暴力の実態は多岐にわたり、さまざまな手法が用いられます。以下に代表的な手口をいくつか紹介します。

みかじめ料（用心棒代）

この手口では、飲食店に対して自社関連会社との商取引契約を強要します。拒否すると、威圧的な行動に出る可能性があり、直接金品を要求するのではなく、契約によって正当性を装うケースも見られます。

ぼったくり

暴力団関係者が経営する風俗店等では、不当に高額な料金が請求されることがあります。客が支払いを渋ると、クレジットカードでの支払いを強制されたり、他の人に現金を持参させるなどの脅しが利くことが問題です。

総会屋

企業の株主総会に出席し、経営者に対して意図的に対立を引き起こし、利益を不当に要求する行為が「総会屋」と呼ばれるものです。このような行為は商法にも抵触することがあります。

整理屋

企業が倒産する際に「有志代表」を自称し、債権者や債務者を取りまとめることで、不当な利益を得る行為です。

社会運動標榜ゴロ

偽の人権団体や民族団体などを名乗り、示威や威圧を通じて金銭を要求する行為が含まれます。これもまた、民事に見せかけた恐喝の一種です。

スカウト、売春斡旋

違法な風俗営業に関与し、若い女性や少女を勧誘して不当な利益を得る手口も確認されています。

当たり屋

意図的に交通事故を起こし、治療費や保険金を不当に請求する行為も見られます。

対策と社会的影響

民事介入暴力は、法的な枠組みが整備されているにもかかわらず、実態が依然として存在しています。弁護士や警察と連携することで、被害を未然に防ぐことが重要視されています。加えて、映画やメディアでもこの問題を取り上げることが多くなり、社会の認識を高める努力が続けられています。たとえば、『ミンボーの女』や『民暴の帝王』など、暴力団との闘争を描いた作品が存在し、関心を集めています。

まとめ

民事介入暴力は、暴力団が利用する巧妙な手口による不当行為であり、一般市民や企業に対して深刻な影響を及ぼします。この問題に対処するためには、社会全体での警戒と対策が求められています。

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