民俗資料記録局 (ヘルシンキ)

フィンランド民俗資料記録局：民俗学研究の拠点

1934年、フィンランドの首都ヘルシンキに設立された民俗資料記録局（Kansanrunousarkisto、Folklore Archives）は、フィンランドの民俗学研究において重要な役割を果たす機関です。当初は1831年設立のフィンランド文芸協会内に設置されていましたが、民俗学者マルティ・ハーヴィオが初代専任局長に就任した1934年以降は独立機関として活動を続けています。

この記録局は、その膨大な資料コレクションと、資料の蒐集、保管、記録、研究のための充実した施設で知られています。特に、きわめて効率的な資料分類法とクロス・リファレンス・システムは、研究者にとって大きな利点となっています。

1950年にはフィンランド政府の補助金を受けて近代的な建物に再建されました。現在の施設には、研究室の他に、カード整理コーナー、索引室、資料分類室、民俗誌とエスノロジーの図書館、貴重記録保存室、採集資料用地下倉庫、レセプションルーム、作業室などが備えられています。さらに、ヘルシンキ大学の学生演習室やレコーディングスタジオ、ディスクやテープ、マイクロフィルムの収蔵室も完備されており、多様な研究活動に対応できる環境が整えられています。

記録局が収集する資料は、フィンランドの民俗文化に関するあらゆるものを網羅しており、その範囲は広く、深く、多岐にわたります。口承文芸、民謡、伝承、儀式、習慣、信仰、生活様式など、フィンランドの文化を理解する上で不可欠な情報を豊富に収蔵しています。これらの資料は、学術研究だけでなく、教育や文化普及活動にも活用され、フィンランドの民俗文化の継承と発展に貢献しています。

記録局は、単なる資料保管機関にとどまらず、活発な研究活動拠点でもあります。多くの研究者がこの記録局を利用し、フィンランドの民俗文化に関する研究を進めています。また、国内外の研究者との交流や国際的な研究協力にも積極的に取り組んでおり、フィンランドの民俗学研究の国際的な発信にも貢献しています。

このように、フィンランド民俗資料記録局は、フィンランドの民俗文化の貴重な記録を保存し、研究を促進し、広く社会に公開することにより、フィンランドの文化遺産の保護と発展に重要な役割を果たしていると言えるでしょう。その存在は、フィンランドの文化理解を深める上で、欠かすことのできないものです。

参考文献

祝宮静『民俗資料入門』岩崎美術舎、1971年9月
堀一郎「欧米の民俗学研究施設と博物館」『日本民俗学大系1 民俗学の成立と展開』

関連項目

カレワラ

外部リンク

Kansanrunousarkisto（フィンランド語）
* Folklore Archives（英語）

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