民弥流

民弥流（たみやりゅう）について

民弥流は、居合術に特化した流派として知られ、主に富山藩や加賀藩など北陸地域で伝承されています。流派の起源を遡ると、遠祖には林崎甚助重信が位置し、流祖には民弥権右衛門宗重がいます。この流派は、剣術や柔術に関連する発展を伴わない、純粋な居合術にフォーカスした流派としての位置づけがなされています。時には「民彌流」と表記されることもあり、特に現代ではその表記が一般的です。

概要

民弥流は、日本の居合術においては独自の体系が形成されています。流名の表記揺れがある一方、伊予吉田藩や西条藩では民谷流という名称で伝承されたケースも存在します。また、林崎流から派生した田宮流と音が似ているため、古文書や資料においては誤記の可能性も考えられます。北陸地域においては、民弥流のほかにも、民弥流から分派したと考えられる相心流という流派も存在しましたが、現在流通している民弥流は富山藩に伝えられた系統のみとなっています。

この流派に関する文献としては、天保7年（1836年）に発行された『諸芸雑志』があり、富山県立図書館で所蔵されています。

歴史

流祖の民弥権右衛門宗重は上泉孫次郎義胤と同一人物とされ、上泉流の流れを汲む中心的な存在です。上泉義胤は、上泉信綱の孫であり、軍法においては父親から教えを受けました。しかし、新陰流剣術は学ばず、無楽流居合いを学びました。彼は岡山藩に仕官した後、尾張藩でも居合術を指導しました。

流派の名称が変わったのは、後に民弥に改姓したことによるもので、彼がこの流派を民弥流として教授するようになったためと考えられています。正保4年（1647年）に彼が亡くなったとの記録がありますが、詳細な情報は不明な点が多いです。

現在伝わる民弥流の系統は、長屋七左衛門吉富から受け継がれ、正徳期間に富山藩に伝えられました。この流派は富山藩の藩校「廣徳館」でも教えられ、文政2年（1819年）には次期藩主に対して上覧された記録があります。明治時代以降は、黒田正好の家系を通じて伝承され、高岡弥兵衛らによって教授されていました。

技法

民弥流の技法には基本の形として「表之型」が存在し、以下のように構成されています。
1. 一ッ目、真之太刀（真太刀）
2. 二ッ目、行之太刀（行太刀）
3. 三ッ目、草之太刀（早太刀）
4. 四ッ目、向掛（向拂）
5. 五ッ目、柄取
6. 六ッ目、観念太刀（観念）
7. 七ッ目、陽之剣（陽剱）

これらの技法は、田宮流との関連性も示されており、居合技術の古い様式を保ちながらも、実戦を想定したものではなく、身体の運用法を重視しています。

系譜

民弥流の系図には多くの人物が含まれており、以下にその一部を紹介します：

• - 林崎甚助重信
• - 田宮平兵衛重正
• - 民弥権右衛門宗重
• - 渡辺三右衛門宗則
• - 長屋七左衛門吉富

など、流派の発展に寄与した多くの剣士たちが名を連ねています。

まとめ

民弥流は、独自の技法と流派としての体系を有し、居合術の重要な一部を形成しています。長い歴史を持つこの流派は、現代においてもその伝統と技法が継承され続けています。

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