民衆の敵 (1931年の映画)

『民衆の敵』（The Public Enemy）は、1931年に公開されたアメリカ合衆国の映画です。ウィリアム・A・ウェルマンが監督を務め、ジェームズ・キャグニーをはじめとする俳優が出演しています。

この映画は、禁酒法時代のアメリカにおける犯罪組織で頭角を現していく若者たちの物語を描いています。2人の元新聞記者が目撃したギャングに関する未発表の小説『Beer and Blood』を原作としています。

1998年には、「文化的・歴史的・芸術的にきわめて高い価値を持つ」作品として評価され、アメリカ国立フィルム登録簿に登録されました。

ストーリー

物語は、シカゴで育ったトムとマットが少年時代から悪事を重ねる場面から始まります。彼らはプティー・ノーズという悪党の下で活動していました。成長した2人は、ノーズの指示で毛皮泥棒を企てますが、警官に見つかり失敗に終わります。その際、ノーズは2人を置いて逃げてしまったため、彼らは怒りを覚えます。

その後、2人はトラック運転手になりますが、今度は貨物抜き取り事件に関与し、パッディーというギャングの親分にかくまわれます。やがて第一次世界大戦が勃発し、トムの兄マイクは戦場で活躍します。一方、アメリカ本土では禁酒法が施行され、トムとマットはパッディーとともにネイルス・ネイザンという別のギャングの傘下に入り、酒の密造や密売で成功を収めます。

しかし、彼らの行動は禁酒法以前から密売を行っていたバッグスの縄張りを侵すことになり、両者の間に対立が生じます。ネイルスの死後、バッグスらは攻勢を強めます。ある日、トムが実家に戻ると、廃兵となった兄のマイクと出会い、口論となります。さらに、バッグスがマットを殺害し、トムは復讐に向かいますが失敗し、病院へ搬送されます。見舞いに来たマイクとトムは和解しますが、束の間にトムはバッグスに病院から連れ去られ、殺されてしまいます。トムの遺体は自宅に送り届けられ、それを見たマイクは手りゅう弾を持ってバッグスの隠れ家へと乗り込んでいくのでした。

キャスト

トム・パワーズ：ジェームズ・キャグニー（近石真介）
グウェン・アレン：ジーン・ハーロウ
マット・ドイル：エドワーズ・ウッズ
マミー：ジョーン・ブロンデル
マイク・パワーズ：ドナルド・クック

スタッフ

監督：ウィリアム・A・ウェルマン
製作：ダリル・F・ザナック
原作：キューベック・グラスマン、ジョン・ブライト
脚本：ハーヴェイ・シュウ
撮影：デイヴ・ジェニングス
* 編集：エドワード・マイケル・マクダーモット

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