気まぐれ天使

『気まぐれ天使』

『気まぐれ天使』は、日本テレビ系列で放送されたホームドラマであり、石立鉄男とユニオン映画が共同制作したシリーズの第六作です。1976年10月6日から1977年10月19日までの約1年間、全43話が放送され、系列内でも長期にわたって視聴者の支持を受けた作品です。

概要

本作は、全43回の放送回数を誇り、石立鉄男・ユニオン映画シリーズでは最長の記録を持っています。オープニングにはアニメーションが使用され、これまでのシリーズとは一線を画した演出が施されています。このアニメは芝山努が手掛け、所属していた「シンエイ動画」への社名変更直後の作品となります。また、クレジットがキャストから紹介される形式も新たな試みであり、視聴者の注目を集めました。

音楽は大野雄二と鈴木清司のコンビが担当しており、劇伴やブリッジの楽曲は後に多くのアニメ作品でも流用されることがありました。特に『ルパン三世』シリーズとは放送時期が近く、音楽の共通点が見受けられます。また、今作では、ワコールの協力を得て下着の描写が登場し、主人公の生活環境がより多様化したことも特筆されます。

あらすじ

物語は、女性下着の大手メーカー・プリンセス下着の宣伝部に勤める加茂忍を中心に展開されます。忍はコピーライターとして仕事をしながら、童話作家としての夢を持ち続けています。彼は同僚の大隈妙子と婚約関係にありながら、苦しい生活を送っています。ある日、忍は街中で行き倒れの老女・伊集院綾乃を助けることになります。綾乃は公家の家系から家出してきたと言い、忍は彼女に新幹線の切符を渡しますが、意外にも彼女は忍の元へ再び現れます。

この出会いをきっかけに、綾乃は忍の生活に様々な波乱を引き起こします。加えて、綾乃の孫娘である英語を流暢に話す渚との出会いが忍の人生をさらに複雑にしていきます。トラブルに巻き込まれつつも、三人は同居を始め、忍は綾乃と渚の手助けをしながら、夢に向かって努力します。

忍の同僚である副部長の榎本は、彼の失敗をフォローしつつ、家庭の事情から結婚願望を持つ青年として描かれます。榎本は妙子の妹との出会いや恋愛を通じて新たな展開へと進んでいき、最終的には職場におけるトラブルに対処する過程で成長を遂げます。

最終的に、物語は忍が童話作家としての成功を夢見てプリンセス下着を退職する決断をし、恋愛関係においても別れや再会が描かれます。友江という新たなヒロインが登場し、忍との関係を通じて物語のクライマックスへと続いていく様子が見どころです。

キャスト

この作品には、石立鉄男をはじめ、大原麗子や酒井和歌子ら、豪華なキャストが揃い、各キャラクターに個性豊かな魅力を与えています。特に、忍の成長や葛藤を支える周囲の人々の関係性が、ストーリーを豊かにしています。

音楽と演出

主題歌「気まぐれ天使」や挿入歌「ジングル・ジャングル」などの楽曲が作品の雰囲気を高め、視聴者を惹きつけました。また、石立鉄男が時折視聴者に向けて直接語りかけるメタ演出も特徴的で、視聴体験に新鮮さを提供しました。

『気まぐれ天使』は、人生の様々な局面を描いた家庭ドラマでありながら、コメディ要素を取り入れることで、多くの視聴者に愛された作品として記憶されています。

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