水上飛行場

水上飛行場について

水上飛行場（すいじょうひこうじょう）は、水面を滑走路として使用し、水上機と呼ばれる特殊な飛行機の発着を行なう施設です。このような飛行場は、英語で「Water aerodrome」とも言われ、水上空港や水上機用空港、あるいは水上機基地とも呼ばれることがあります。これらの名称は、その機能や地域によって異なる呼称が用いられています。

水上飛行場の現状

2000年代初めの時点で、水上飛行場を利用する定期航路が存在するのは、主に北アメリカの一部とカリブ海のバハマに限られていましたが、チャーター便などの運航がなされている地域は広がりを見せており、他のカリブ海諸国、南太平洋の国々、モルディブ、さらにはヨーロッパの地中海地域や北欧にも水上飛行場が点在しています。特にカナダの南西部や北部では、湖や海を活用した定期便が頻繁に運航されていることが特徴です。

熱帯の島々では、サンゴ礁に囲まれた浅い海域が多く、水上飛行場は通常の空港の建設や船着場の整備に比べて、経済的及び環境的な負担が少ないため、観光のための遊覧飛行などに利用されることが多くなっています。また、いくつかの水上飛行場では、ゼネラル・アビエーションにサービスを提供しているケースも見られます。

日本における水上飛行場

日本では、第二次世界大戦前やその後の1960年代まで、水上機による航空輸送が行われており、各地に水上飛行場が存在していました。しかし、その後の空港整備の進展と共に航空機が大型化し、ジェット機が主流になるにつれ、プロペラ機ベースの水上機の存在は次第に少なくなっていきました。

航空法第79条では、航空機の離着陸についての規制が定められていますが、特に水上機が水上空港に頼らずとも、すべての水面に離発着可能と解釈されている一方で、船舶との運航安全に関する法整備が不十分です。そのため、本格的な水上飛行場を設けたい場合には、新たな法的整備が必要とされています。加えて、航空法施行規則においても、水上飛行場に必要な設備についての詳細な基準が設けられておらず、今後の整備に向けた議論が必要とされています。

東日本大震災後の復興活動の一環として、日本大学理工学部の「東日本復興水上空港ネットワーク構想研究会」が水上機の活用を視野に入れた研究を進めています。このような研究は、特に被災地域における空輸手段の多様化を目指しています。

世界の水上飛行場の例

日本を含む世界各地には、さまざまな水上飛行場が存在します。アメリカでは、フッド湖水上飛行場が見られ、アラスカ州内ではさまざまな水上機が利用されています。カナダでは、バンクーバー・ハーバー水上空港が規模の大きな事例として、また、ハチェット湖水上飛行場が小規模な例として知られています。

日本国内には、オノミチフローティングポート（広島県尾道市浦崎町）や、なかうみスカイポート（島根県松江市上宇部尾町）などの水上飛行場が存在しました。過去には根岸飛行場（神奈川県）や名島水上飛行場（福岡県）といった施設もありましたが、現代ではその多くが姿を消しています。

このように、水上飛行場は国や地域によって利用状況や目的が異なり、観光や交通手段の一環として重要な役割を果たしています。

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