水戸室内管弦楽団

水戸室内管弦楽団について

水戸室内管弦楽団（MCO）は、茨城県水戸市に位置する日本有数の室内オーケストラです。この楽団は、1990年に水戸芸術館の専属楽団として設立され、創設者の吉田秀和の指導のもと、開館と同時にその活動を開始しました。楽団員には日本を代表する奏者たちだけでなく、国際的な音楽家も参加しており、その多彩な顔ぶれが特徴です。

組織と活動内容

水戸室内管弦楽団は、年に約4回の定期演奏会を水戸芸術館コンサートホールATMで実施しています。これらの演奏会は、指揮者を置かないアンサンブル形式と、指揮者によるものの双方があり、多様なスタイルで音楽を楽しむことができます。2024年5月現在、定期演奏会は113回を迎え、同じ曲目を2～3日間にわたり演奏することが多いです。また、国内外のツアーも行っており、その演奏の幅広さが評価されています。

2011年3月11日には、東日本大震災の影響を受けた地域への復旧支援として、チャリティーコンサートを東京のサントリーホールで開催しました。この公演では、収益金の一部が震災によって影響を受けた学校の楽器修理や、さらには仙台フィルハーモニー管弦楽団への寄付に使われました。このような活動は、地域とのつながりを大切にする姿勢を表しています。

演奏陣と指揮者

水戸室内管弦楽団では、コンサートマスターや首席奏者は設定されていません。ヴァイオリンの演奏者は、曲ごとに配置を変え、常に新しい演奏スタイルを追求しています。また、実際の公演に合わせてメンバーが微調整され、客演指揮者が指導する場面も多々あります。特に、ハープの吉野直子やピアノの野平一郎といったアーティストとは、毎年共演しています。

音楽顧問には著名な指揮者である小澤征爾が務めていましたが、彼が体調を崩す以前はほぼ毎年このオーケストラに参加していました。近年では、準・メルクルが指揮者として頻繁に招かれるようになり、彼の指揮で絶賛されています。さらに、ジャン＝フランソワ・パイヤールやトレヴァー・ピノックなどの著名な指揮者もこのオーケストラに参加し、レパートリーを広げる活動を行っています。

レパートリーと音楽の幅

水戸室内管弦楽団は、演奏会の会場や編成の制約がありながらも、幅広いジャンルの楽曲を取り扱っています。主に古典音楽を中心に、小編成の作品が多いですが、小澤やメルクルが指揮する際には、ラヴェルやドビュッシー、シュトラウスなど、より多様な音楽が演奏されます。オーケストラの団員たちは選曲を決める役割も担っており、また多くの協奏曲やアンサンブル演奏も行っています。

演奏の成果はCDとしても多くリリースされており、一般に流通する音楽の中でも高い評価を受けています。水戸室内管弦楽団は、その音楽活動を通じて地域社会に貢献し、教育活動とも連携を強化している点でも注目されています。

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