水無川 (長崎県)

水無川（みずなしがわ）について

水無川は、島原半島中央部に位置し、雲仙岳の東斜面から有明海（島原湾）へ流れ込む二級河川です。この河川は、長崎県の島原市と南島原市の境界を形成していますが、上流部の一部は雲仙市に含まれています。水無川の流域はほぼ全体が雲仙岳に由来する火山性の砕屑物で覆われており、通常は水が流れない状態ですが、降雨があると一時的に水をたたえます。

流域の特徴

水無川の水源は、雲仙山系の普賢岳（1,359m）や平成新山（1,483m）の東側斜面にあります。平成新山の周辺には、垂木台地、稲生山、岩上山、貝野岳といった丘陵が存在し、これらの丘陵の間には赤松谷やおしが谷などの谷が紡がれています。これらの谷の最南端、赤松谷から本流へかけては、島原市と南島原市深江町の境界も形成されています。水無川の谷は約8kmの長さがあり、普段は涸れ川となっているため、流れている水を観察することができるのは降雨後のみです。また、上流の雲仙岳から流出する火山砕屑物が堆積しているため、特に下流域は高い天井川のような形状を見せています。

災害と河川改修

歴史的に見ると、水無川流域では1658年（万治元年）に土石流が発生し、30人以上の犠牲者を出したという記録があります。また、1957年（昭和32年）7月末の諫早豪雨では、1日の降水量が765mmに達し、眉山から崩れた土砂が水無川にも影響を及ぼしました。特に1990年から1995年にかけての普賢岳の噴火により、多くの土石流や火砕流が流域を襲い、44名が命を落とし、重傷者も多く出ました。家屋の被害は1,331戸に達しました。噴火活動は1995年に終息しましたが、以降も土石流が発生することがあるため、大規模な堤防や砂防堰堤の整備、導流堤の造成、下流域のかさ上げ工事などが継続的に実施されています。

交通インフラ

水無川には国道57号（初代水無川橋）や国道251号（安徳大橋）、島原深江道路（がまだすロード）が通ります。特に1991年6月3日には、雲仙岳の火砕流が水無川橋を襲い、52名が被害を受けるという大惨事が発生しました。その後、水無川橋は土石流によって消失し、1999年に水無大橋が開通しました。

鉄道関連では、島原鉄道が流域を横断しており、高架化工事が1997年に行われましたが、2008年には南目線が廃止され、バスが代替交通手段となっています。

保存および復興事業

流域には、平成新山の噴火による土石流で被災した家屋が保存されている土石流被災家屋保存公園があります。また、隣接する道の駅みずなし本陣ふかえの展示施設も存在しましたが、2021年に営業が終了しました。2023年には道の駅ひまわりとして新たに始動しました。

さらに、島原市平成町では、噴火災害からの復興を目指して、土砂を利用して安徳海岸が埋め立てられ新たな地域が誕生しました。ここには、島原復興アリーナや雲仙岳災害記念館が設置され、災害の記憶とともに復興の歴史が受け継がれています。

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