水無瀬神宮

水無瀬神宮：歴史と自然が織りなす聖域

水無瀬神宮は、大阪府三島郡島本町に位置する由緒ある神社です。かつてこの地には、後鳥羽天皇が愛した離宮・水無瀬殿が存在しました。承久の乱後、荒廃した離宮跡に、後鳥羽天皇の遺志に基づき、水無瀬信成・親成親子が御影堂を建立したのが当宮の始まりです。その後、後土御門天皇が後鳥羽天皇の神霊を迎え、水無瀬宮と称されるようになりました。

安土桃山時代には、豊臣秀吉の命により福島正則が普請奉行として壮麗な客殿を建立。寛永年間には、京都御所から明正天皇の内侍所を移築し、本殿として整備されました。江戸時代までは仏式で祀られていましたが、明治時代の神仏分離令により神社となり、水無瀬宮から水無瀬神宮と改称。官幣大社に列せられ、現在では神社本庁の別表神社として崇敬されています。

後鳥羽天皇と水無瀬離宮

水無瀬神宮の歴史を語る上で欠かせないのが、後鳥羽天皇と水無瀬離宮です。元々は内大臣源通親の別荘でしたが、後鳥羽天皇はその美しさに魅了され、譲り受けて離宮としました。度重なる増改築を経て、後鳥羽天皇はしばしばこの離宮を訪れ、政治や文化の中心地として栄えました。しかし、水無瀬川の大洪水による被害を受け、新たな離宮を建設。その後、承久の乱で後鳥羽天皇が隠岐に流されると、離宮は荒廃の一途を辿ることとなります。

貴重な文化財

水無瀬神宮には、数多くの貴重な文化財が保存されています。

国宝: 後鳥羽天皇宸翰御手印置文（後鳥羽天皇直筆の遺言書）、紙本著色後鳥羽天皇像など。後鳥羽天皇ゆかりの史料は、歴史研究において極めて重要な役割を果たしています。
重要文化財: 豊臣秀吉が建立させた客殿、後水尾天皇から下賜されたと伝わる茶室「燈心亭」など、建築史的にも貴重な建造物が現存しています。
* 国登録有形文化財: 本殿、拝殿、幣殿、神庫、手水舎、神門など、境内には多くの建造物が国登録有形文化財に登録されています。

これらの文化財は、水無瀬神宮の歴史と文化を今に伝える貴重な遺産です。

境内と周辺環境

水無瀬神宮の境内は、歴史を感じさせる建造物と、自然豊かな環境が調和した美しい空間です。境内には、名水百選に選ばれた「離宮の水」が湧き出ており、清らかな水を湛えた手水舎は、参拝者にとって心安らぐ場所となっています。また、神門には石川五右衛門にまつわる伝説も残されています。

神宮周辺には、桜井駅跡や関大明神社、離宮八幡宮、大山崎山荘美術館など、歴史的・文化的観光地が点在しています。水無瀬神宮を訪れる際には、周辺の観光地も合わせて巡ってみるのも良いでしょう。

交通アクセス

水無瀬神宮へのアクセスは、阪急京都本線水無瀬駅、JR京都線島本駅・山崎駅から徒歩圏内です。電車でのアクセスが便利で、観光客にも優しい立地となっています。

水無瀬神宮は、歴史、文化、自然が融合した貴重な場所です。静寂に包まれた境内を散策し、悠久の歴史と豊かな自然に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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