水無瀬信成

水無瀬信成：鎌倉時代の公卿、その生涯と文化への貢献

水無瀬信成（みなせ のぶしげ/のぶなり）は、鎌倉時代前期から中期にかけて朝廷に仕えた公卿です。彼は権中納言・藤原親兼の子として生まれ、後に大納言・坊門忠信の養子となりました。その官位は正三位・参議にまで昇り、左中将も務めました。

経歴

信成の足跡は、『公卿補任』や『尊卑分脈』といった史料に詳しく記されています。

建保2年（1214年）：侍従に任ぜられ、従五位上に昇叙。左少将にも任官。
建保3年（1215年）：正五位下に進み、美作権介を兼任。左中将に転任し、従四位下に昇叙。同年中に従四位上に昇叙。
建保6年（1218年）：正四位下に昇叙。同年12月には参議に任ぜられる。
建保7年（1219年）：備前権守を兼任。従三位に叙せられる。
承久3年（1221年）：正三位に昇叙。承久の乱に関連して一時的に失脚するも、後に復帰。
延応元年（1239年）：出家。
弘長2年（1262年）：薨去。

承久の乱においては、信成もその影響を受けました。一時は武士に捕らえられ、参議を停止される憂き目に遭いましたが、後に放免されています。

後鳥羽院との関係

信成は、後鳥羽院から特別な信頼を受けていました。後鳥羽院が隠岐で崩御する直前に認めた置文を託されたことは、その関係の深さを物語っています。後鳥羽院の崩御後、信成は親成と共に御影堂を建立し、その菩提を弔いました。この御影堂は、現在の水無瀬神宮となっています。水無瀬神宮に収蔵されている後鳥羽院の置文は、国宝に指定されています。

系譜

父：藤原親兼
母：宜秋門院女房備前 - 源盛親の娘（『尊卑文脈』では源盛保の娘）
養父：坊門忠信
妻：吉田定経娘

信成には多くの子がいました。

長男：水無瀬親成
次男：水無瀬信氏
男子：任快
男子：親源
男子：信弁

水無瀬信成は、公卿として朝廷に仕える傍ら、後鳥羽院の信任を得て文化的な活動にも貢献しました。彼の生涯は、鎌倉時代前期の政治と文化を理解する上で重要な手がかりとなります。

参考文献

『公卿補任』（新訂増補国史大系）吉川弘文館 黒板勝美、国史大系編集会（編）
『尊卑分脈』（新訂増補国史大系）吉川弘文館 黒板勝美、国史大系編集会（編）

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