水爆打線

水爆打線の詳細

水爆打線（すいばくだせん）は、1950年に松竹ロビンスが展開した打撃陣を指す愛称です。この名称は当時アメリカで開発されていた水素爆弾に由来しており、「誘発が誘発を呼ぶ」という強力な連携プレーを象徴しています。この年、松竹はセ・パ両リーグにおいて圧倒的な打撃力を発揮し、98勝35敗4引分という素晴らしい成績でリーグ優勝を成し遂げました。この98勝の記録は、今もなおセ・リーグの記録として残っています。

シーズンの特徴

1950年は、球団数の増加による投手力の低下や、狭い地方球場の利用、さらには「ラビットボール」と呼ばれる飛ぶボールの採用によって、打者に非常に有利な環境が整っていました。その結果、松竹は137試合を通じて908得点を叩き出し、チーム打率は.287を記録しました。また、1417安打を放ち、179本塁打という記録を達成しました。さらに、盗塁数は223というリーグ1位となり、機動力も駆使したプレーが際立っていました。

特に、小鶴誠選手は130試合に出場し、打率.355、51本塁打、161打点、143得点という圧巻の成績を残しました。彼はまた、28盗塁を記録し、当時のメジャーリーグでも達成者がいなかった「50本塁打20盗塁」を成し遂げました。岩本義行選手も負けず劣らずの成績を残し、打率.319、39本塁打、127打点、121得点、34盗塁を記録しました。加えて、別当薫と共に日本プロ野球初の「3割30本30盗塁」を達成したことも特筆すべき成果です。

さらに、大岡虎雄選手も打率.282、34本塁打、109打点、86得点という成績を残しており、クリーンナップの3人全員が30本塁打かつ100打点を達成したのは、以降1985年の阪神に至るまでありませんでした。

得点力の記録

1試合平均得点は6.63点という驚異的な数字で、これもまた打者に有利な条件が揃っていたため一概には比較できませんが、1985年の阪神の「ニューダイナマイト打線」が5.62点、2003年のダイエーの「ダイハード打線」が5.87点、2001年の近鉄の「いてまえ打線」が5.50点と比べても、1950年の松竹ロビンスの強力な得点力を感じさせる結果です。

その後、1951年には39歳の岩本選手が史上初の1試合4本塁打を記録するなど、松竹打線はその後の日本プロ野球に多大な影響を与えました。水爆打線は、その名の通り、野球界における強力な武器として、多くのファンに記憶され続けることでしょう。

もう一度検索