水田宗子

水田宗子（みずた のりこ）は、1937年8月19日生まれの日本の比較文学者であり、詩人です。学校法人城西大学の理事長や理事を歴任しましたが、不適切支出問題が発覚し、2016年に理事長を辞任、2017年には理事を解任されました。

生い立ちと教育

水田宗子は東京府東京市大森区（現在の東京都大田区）で生まれました。父は城西大学の創立者であり、衆議院議員を13回連続で務め、池田勇人政権と佐藤栄作政権下で大蔵大臣を6回務めた水田三喜男です。第二次世界大戦中は、父の故郷である千葉県で疎開生活を送りました。

雙葉小学校、雙葉中学校・高等学校を経て、東京女子大学文理学部英米文学科を卒業。その後、イェール大学大学院に進み、アメリカ文学で博士号を取得しました。1970年からメリー・マウント大学やスクリップス大学で助教授として教鞭をとり、現代英米文学や批評理論などを担当。1974年からは、南カリフォルニア大学比較文学部で助教授、準教授として、アメリカ文学、日欧米比較文学、フェミニズム批評理論などを講義しました。

城西大学でのキャリア

1982年、城西大学短期大学部設立準備室に参画し、翌年短期大学部を開学させました。1992年には城西国際大学を設立し、人文学部教授に就任。1994年から1996年まで城西大学学長を務め、1996年から2009年まで城西国際大学学長を務めました。2004年には学校法人城西大学の理事長に就任しましたが、2016年に同職を退任。2017年には理事を解任されました。

国際的な活動と名誉

水田宗子は、中国の華南師範大学、東北大学、大連理工大学、瀋陽師範大学で名誉教授の称号を受けており、ハンガリーのセント・イシュトヴァーン大学と韓国の東西大学校からは名誉博士号を授与されています。また、ハンガリーのブダペスト商科大学からは特別栄誉教授の称号が贈られています。

不適切支出問題

2016年12月、学校法人城西大学の理事会において、小野元之理事（当時）から解任決議がなされ、水田は理事長を退任しました。2017年4月には、理事長在任中の不適切な支出疑惑が浮上し、学校法人城西大学が会計調査委員会を設置しました。同年5月には、学校法人城西大学が記者会見を行い、この問題について説明しました。

これに対し、水田宗子は不正利用は事実無根であると主張し、記者会見によって名誉が毀損されたとして、学校法人城西大学および記者会見を行った北村幸久法人事務局長を訴えました。2020年2月、東京地方裁判所はこの訴えを棄却しました。

2017年9月、調査委員会は4億円の不適切支出があったとする報告書を公表。これを受けて、水田は城西大学の理事を解任されました。大学側は損害賠償の民事訴訟と刑事告訴を行い、水田側は報告書に重大な瑕疵があるとして、解任を不当だと訴えました。しかし、2019年9月、最高裁は水田側の上告を棄却し、水田側の敗訴が確定しました。

受賞歴と名誉学術称号

水田宗子は、ハンガリー共和国文化勲章や中十字勲章を受章し、スウェーデン大使館から「チカダ賞」を受賞するなど、国際的にも高い評価を受けています。また、複数の大学から名誉教授や名誉博士号を授与されており、その学術的な貢献が認められています。

学会やその他外部団体での活動

水田宗子は、「フェミニスト」の創刊委員や日本女性学会の創設委員を務め、日本近代文学館の評議員、日本スウェーデン協会の会長としても活動しています。

著書

水田宗子は、数多くの著書を執筆しており、文学、フェミニズム、文化に関する幅広いテーマを取り扱っています。主な著書には、『エドガー・アラン・ポオの世界 罪と夢』、『フェミニズムの彼方 女性表現の深層』、『物語と反物語の風景　文学と女性の想像力』などがあります。また、詩集や翻訳書も手掛けています。

水田宗子の学術的な業績と、晩年に起こった不適切支出問題は、彼女の複雑なキャリアを象徴しています。彼女の文学研究と教育への貢献は高く評価される一方で、晩年のスキャンダルは、彼女の評価に影を落としました。

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