水神宮 (掛川市)

水神宮は、静岡県掛川市に位置する歴史ある神社です。その起源は古く、寛和元年（985年）に安倍晴明が勧請したという言い伝えが残っています。この伝承は、大渕地区浜部落に残る晴明塚や硯水の井戸とも関連付けられています。

戦国時代、天正6年（1578年）に横須賀城が築城されると、初代城主である大須賀康高以来、歴代の城主が水神宮の本殿などを修理し、維持に努めました。このことから、水神宮は地域における重要な信仰の対象であったことが伺えます。

明治維新後の明治6年（1873年）には、西五町が氏子として水神宮の維持管理を引き継ぎ、今日に至るまでその役割を果たしています。地域の人々によって大切に守られてきたことがわかります。

また、毎年4月に行われる三熊野神社の大祭では、神輿が水神宮に渡御し休憩するという慣わしがあります。これは、氏子の民情を視察するためであると伝えられています。この祭事からも、水神宮が地域の文化と深く結びついていることがわかります。

境内には、月夜見神社が祀られています。月夜見神社は元々、松尾町神尾茂次の祖先が江戸城から分祀し、邸内に祀っていたものを、大正8年（1919年）に水神宮に合祀したものです。このことから、水神宮が地域における様々な信仰を受け入れてきた場所であることがわかります。

水神宮は、古くからの伝承と歴史、そして地域の人々の信仰が一体となった、非常に興味深い神社です。

参考文献
* 大須賀町誌編纂委員会 『大須賀町誌』 静岡県小笠郡大須賀町

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