大須賀康高

大須賀康高（おおすか やすたか）

大須賀康高は、戦国時代に徳川氏に仕えた武将です。三河国額田郡洞村（現在の愛知県岡崎市洞町）に、大永7年（1527年）大須賀正綱の子として生まれました。当初は娘婿である榊原康政と共に酒井忠尚に仕えていましたが、忠尚が徳川家康に反旗を翻すと、康政とともに家康に仕える道を選びました。

徳川家康への仕官と初期の活躍

家康に仕えた康高は、旗本先手役としてその武勇を発揮しました。天正元年（1573年）には、遠州馬伏塚城を守り抜き、武田軍の侵攻を阻止。翌天正2年（1574年）の高天神城籠城戦では、小笠原信興らと共に二ヶ月間持ちこたえましたが、援軍の見込みがなくなり開城、降伏しました。しかし、武田勝頼は城兵を寛大に扱い、徳川への帰還を希望する者を解放しました。康高も帰還を希望し、その後、高天神城の最前線である馬伏塚城を与えられました。

横須賀城築城と高天神城攻略

天正6年（1578年）、康高は高天神城奪還のために、横須賀城の築城を開始しました。この時、渥美勝吉、坂部広勝、久世広宣ら、かつて開城の際に帰還した将が与力として配属され、彼らは康高の指揮下で「横須賀衆」として活躍し、特に七人は「横須賀七人衆」と称えられました。同年、甥の大須賀弥吉（小吉）が高天神城攻略で独断専行したため、家康の怒りを買い切腹を命じられるという事件がありました。しかし、康高は変わらず家康への忠誠を誓い、武田氏との戦いに貢献しました。

同年8月には、徳川勢が高天神城下に放火し、武田勢との合戦に発展。横須賀衆が活躍を見せました。翌9月には、武田勝頼が高天神城への輸送を試みたため、家康と松平信康が馬伏塚城に入城。武田勢は横須賀城に攻め寄せましたが、ここでも横須賀七人衆の活躍が目立ちました。天正7年（1579年）には、高天神城下に侵入し田畑を焼き払うなど、補給路を断つ作戦を続けました。

高天神城の戦いと落城

天正8年（1580年）、横須賀城が完成し、家康は高天神城を包囲する複数の砦（「高天神六砦」）を築き、高天神城を完全に孤立させました。康高率いる横須賀衆は、中村砦、火ヶ峰砦、獅子ヶ鼻砦を守備し、補給路を遮断しました。10月には徳川勢が完全包囲を敷き、飢餓に苦しむ高天神城は、天正9年（1581年）3月22日、岡部元信率いる城兵が最後の突撃を敢行。康高ら大須賀勢も迎え撃ち、激戦の末に高天神城は落城しました。この戦いで横須賀七人衆の一人、久世広宣は、剣の火花で敵味方を区別したと伝えられています。

その後の活躍と死

高天神城攻略の功績により、康高は天正10年（1582年）に家康から松平の名字を与えられました。その後も横須賀城を守り、本能寺の変後の武田遺領を巡る争い（天正壬午の乱）では先鋒隊として活躍しました。天正12年（1584年）の小牧・長久手の戦いでは、先鋒として羽柴信吉軍を追い詰めるも、堀秀政の反撃に遭い敗北。天正13年（1585年）の真田昌幸攻め（上田合戦）では、苦戦する味方の救援に派遣されました。

天正17年（1589年）6月23日、領内の撰要寺に参詣中、急病で亡くなりました。享年63歳。跡継ぎがいなかったため、榊原康政の娘との間に生まれた忠政を養子に迎えました。また、康高には信高という実子がいましたが、彼は仏門に入り、後に善福寺を開山しました。

評価

大須賀康高は、徳川家臣団の中で新参ながらも、数々の武功を挙げたことで、徳川二十将の一人に数えられています。他の家臣に比べて早く亡くなったこと、大須賀氏が後に榊原氏に吸収されたことから、その功績はあまり目立たないものの、実際には徳川四天王や大久保忠世、鳥居元忠らに匹敵する武功を挙げた人物として評価されています。

関連事項

火ヶ峰砦
獅子ヶ鼻砦
* 中村砦

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