水系感染症

水系感染症とは

水系感染症（waterborne disease）とは、病原微生物によって汚染された水を直接摂取することで感染する病気の総称です。汚染された水は、飲料水としてだけでなく、調理にも使用されるため、食中毒の原因となることもあります。

世界的な脅威

世界保健機関（WHO）の報告によると、下痢性疾患は全世界の障害調整生命年（DALY）の4.1％を占めており、毎年180万人もの命を奪っています。これらの疾患の約88％は、公衆[[衛生]]および衛生的に安全でない水の供給が原因と推定されており、特に発展途上国の子どもたちに大きな被害をもたらしています。

原因となる病原体

水系感染症の原因となる病原体は、主に以下の3つのグループに分けられます。

原生生物: クリプトスポリジウム、アカントアメーバなど
細菌: コレラ、赤痢、レジオネラ、腸チフスなど
* ウイルス: A型肝炎、E型肝炎、ポリオなど

これらの病原体は、主に消化器系の疾患を引き起こします。下痢、嘔吐、腹痛などが主な症状として現れます。

水の安全確保

水系感染症の予防には、安全な水の確保が不可欠です。WHOや赤十字は、家庭でできる簡単な水処理方法として、太陽光を利用した水殺菌（SODIS）を推奨しています。これは、清潔な透明な容器に水を入れ、数時間太陽光に当てるだけで、病原微生物を殺菌できるというものです。この方法は、簡単かつ効果的で、発展途上国を中心に広く利用されています。

歴史

19世紀には、コレラの原因が汚染された水にあることが明らかになりました。ロンドンのブロード・ストリートで発生したコレラの大流行では、ジョン・スノウが汚染された井戸水を原因と特定し、感染症の原因究明における重要な一歩となりました。

関連事項

水系感染症は、感染経路の一つであり、他にも様々な感染経路が存在します。感染症の予防には、原因となる病原体を理解し、適切な対策を講じることが重要です。

まとめ

水系感染症は、世界中で多くの人々の健康を脅かす深刻な問題です。安全な水の供給や水処理の普及を通じて、この問題の解決に向けて努力を続ける必要があります。

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