レジオネラ

レジオネラ (Legionella) についての詳細

概要

レジオネラは、グラム陰性の桿菌に分類される細菌の総称であり、肺炎を引き起こす原因として知られています。特に「レジオネラ肺炎」として知られる感染症を引き起こす種が含まれており、これらは通性細胞内寄生性菌に該当します。日本では「レジオネラ菌」と呼ばれることが多く、その表記は厚生労働省の文書などでも見られます。

歴史的背景

レジオネラの発見は1976年、アメリカのペンシルベニア州で開催された米国在郷軍人会の大会で起こった集団感染がきっかけでした。この事件では221人が原因不明の肺炎にかかり、34人が命を落としました。初めはウイルスやリケッチアなどが疑われましたが、最終的に新種のグラム陰性桿菌が患者の肺から分離されました。これが「Legionella pneumophila」と名づけられ、名称は「在郷軍人」に由来しています。

特徴

レジオネラ属の細菌は通常の細菌培養では生育しません。この理由は、グルコースなどの糖を利用できず、特定のアミノ酸（システインやセリンなど）を必要とするからです。さらに、pHは6.7～7.0、最適温度は36°Cといった厳しい環境条件を求めます。一般的な環境では水中や土壌に生息し、アメーバなどの他の生物の細胞内に寄生することで様々な場所で繁殖します。

通常、レジオネラは、水を大量に蓄える環境、特に冷却塔や入浴施設において繁殖しやすいです。この水から発生するエアロゾル（微小水滴）を吸入することで、感染が広がる可能性があります。レジオネラが肺に達すると肺胞のマクロファージに取り込まれるものの、その細菌はマクロファージ内で増殖します。この過程で、食胞の性質を変化させ、細胞の免疫から逃れることができるのです。

危険性と感染症

レジオネラは通常、健康な個体には影響を及ぼさない菌ですが、高齢者や免疫力が低下した人には非常に危険です。特に、主に「Legionella pneumophila」がレジオネラの感染症（肺炎やポンティアック熱）の主な原因です。

下位分類

レジオネラ属には多くの種が含まれ、2024年9月時点では60種以上が報告されています。正式に承認された種の中には、Legionella adelaidensis、Legionella pneumophilaなどがあります。また、IIJMに未承認の種も存在します。

環境と除去の難しさ

レジオネラは、自由生活アメーバなどに寄生し、バイオフィルムを形成することで衛生管理上の問題を引き起こします。アメーバは浴槽の表面にバイオフィルムを形成し、そこにレジオネラが存在することで、消毒薬が効果的に届かず除去するのが難しくなります。バイオフィルムやシストの形成は、さらなる感染リスクを高める要因となります。

参考文献

• - 厚生労働省のレジオネラ対策ページ
• - 国立感染症研究所によるレジオネラ症についての情報

リスクを理解し、対策を講じることが重要な細菌、レジオネラの特性について知識を深めることは、公共の健康を守る上で不可欠です。

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