水谷勝晴

水谷勝晴について

水谷勝晴（みずのや かつはる）は、江戸時代前期に備中国（現在の岡山県西部）の備中松山藩に生まれた人物です。彼は藩主である水谷勝阜（みずのや かつたか）の長男として、天和元年（1681年）に誕生しました。母は妻木頼保（つまき よりやす）の娘です。幼名は彌七郎（やしちろう）と名付けられました。

勝晴は、元禄6年（1693年）10月6日に、備中松山藩の藩主であった水谷勝美（みずのや かつよし）が後継ぎを遺さずに亡くなったため、その末期養子となりました。本来であれば、勝美の後を継いで藩主となるはずでしたが、そのわずか1ヶ月後の11月27日に、疱瘡（ほうそう、天然痘のこと）により13歳という若さでこの世を去りました。彼の戒名は見徳院朝華日理（けんとくいんちょうかにちり）です。

勝晴の突然の死は、備中松山藩に大きな混乱をもたらしました。水谷家は、改めて勝美の弟を養子に迎えようとしましたが、「末期養子の末期養子」は幕府に認められず、結果として水谷家は後継ぎがいないと判断され、備中松山藩は改易という処分を受けることになりました。つまり、藩としての水谷家は消滅することとなったのです。

しかし、水谷家そのものが完全に途絶えたわけではありません。勝美の弟である水谷勝時（みずのや かつとき）には、新たに3000石が与えられ、旗本として家名を存続させることが許されました。勝晴の死は藩の消滅という悲劇につながりましたが、水谷家自体はその後も歴史の中で生き続けたのです。

この出来事は、江戸時代の武家社会における跡継ぎ問題の厳しさと、制度の硬直性を物語る一例として、歴史に刻まれています。

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