水谷準

水谷準 - 日本の小説家・推理作家

概要

水谷準（みずたに じゅん、1904年3月5日 - 2001年3月20日）は、日本の小説家、推理作家、翻訳家であり、また編集者としても知られる。彼の本名は納谷三千男（なやみちお）であり、特に雑誌『新青年』の編集長を18年間務めたことで名を馳せた。

生い立ち

水谷準は、北海道函館区（今の函館市）に生まれた。函館は幕末から国際的な港町として知られ、彼の父親はパン屋を経営し、外国人の執事として働いていた。この環境の中で、彼は幼少期から国際的な影響を受けて成長した。子供の頃、弥生小学校で鈴木三重吉が創刊した雑誌『赤い鳥』に童謡を投稿し、第1回の入選作として名を上げた。

彼は旧制函館中学を中退し、早稲田高等学院に進学。この在学中に、博文館の雑誌『新青年』の懸賞に応募した「好敵手」が一等に入選し、作家としてのキャリアが始まった。1925年には早稲田大学文学部の仏文科に進学し、翌年からは雑誌『探偵趣味』の実質的な編集長を務めることになる。

編集者としての活動

1929年、水谷は『新青年』の第4代編集長に就任し、1938年には一度編集長を離れるが、1939年から1945年まで再び同誌の編集長を務めた。この時期、彼は多くの若手作家を発掘し、デビューさせる役割を果たした。特に、小栗虫太郎や獅子文六、木々高太郎などの著名な作家を育てたことは、彼の大きな業績の一つである。

戦後の活動と業績

戦後、水谷は編集長の職を理由に公職追放となり、博文館を退社した。しかし、1950年には追放が解除された。この間に、探偵作家クラブが設立され、彼は江戸川乱歩と共に新たな探偵文学の発展に寄与した。その後、1952年に短編作品『ある決闘』で第5回探偵作家クラブ賞を受賞し、再び作家としての地位を確立。

ゴルフとの関わり

水谷準はまた、ゴルフの達人としても知られていた。彼は文壇での評判から、多くのゴルフに関する著作や訳書を手がけ、その情報を広く発信していた。特に、ベン・ホーガンの『モダンゴルフ』などの翻訳は、彼のゴルフに対する情熱を示している。

晚年と遺産

彼は2001年に肺癌で亡くなるまで、長い間日本文学の一翼を担い続けた。水谷準の 著作は多岐にわたり、探偵小説の金字塔として今なお愛され続けている。583の著書や翻訳を通じて、多くの読者に影響を与えた彼の業績は、日本の文学界において重要な位置を占めている。

遺族と人とのつながり

水谷準は、著名な推理作家横溝正史との深い友情で知られ、彼の病気を支えるなど献身的な一面を持っていた。また、彼は長谷川潾二郎から刺激を受け、文学にのめり込んでいったエピソードも残っている。

水谷準の生涯と業績は、多くの後進作家にとっての道しるべとなり、彼の文学の世界は今後も大いに称えられるべきものである。

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