水越達雄

水越達雄

水越達雄（みずこし たつお）は、1911年1月1日に東京市で生まれ、1994年6月12日に亡くなった、昭和時代を代表する土木工学者であり、実業家です。

生涯

水越達雄は、1936年に東京帝国大学工学部土木工学科を卒業後、大日本電力に入社しました。入社後は、秋田県鳥海山麓の子吉川における水力開発プロジェクトに携わり、アーチ型コンクリート水路橋の設計・施工を担当しました。このプロジェクトで、水越は卓越した技術力を発揮し、その後のキャリアを築く上での重要な経験となりました。

1939年には、日本発送電に入社し、只見川水系宮下発電所などの調査・設計に従事しました。さらに、南方派遣団員としてセレベス島方面での電源調査も担当し、戦時下における電力供給の安定化に貢献しました。

その後、大日本帝国海軍嘱託の特殊建設部隊「刀水隊」の隊長を務め、終戦を迎えるまで、戦時下のインフラ整備に尽力しました。終戦後は、日本発送電関東支店土木部水路課長を経て、1951年に電力再編成により設立された東京電力に入社しました。

東京電力では、建設部発電計画課長として水力発電所の開発を積極的に推進しました。その後、建設部土木課長、鬼怒川水力建設準備事務所長、建設部長、取締役建設部長などの要職を歴任し、1971年には常務取締役に就任しました。

この間、梓川再開発計画や高瀬川水力発電所建設などのプロジェクトで陣頭指揮を執り、日本の電力供給を支える重要な役割を果たしました。これらのプロジェクトは、水越の卓越した技術力とリーダーシップによって成功に導かれ、日本の電力インフラの発展に大きく貢献しました。

その後、送変電建設本部長担務を経て、1977年には東京電力最高顧問、1991年には東京電力顧問を歴任し、長年にわたり東京電力の発展に貢献しました。また、土木学会会長、岩の力学連合会理事長、日本コンクリート工学協会長、電力土木技術協会副会長、常磐共同火力社長・顧問など、数々の要職を歴任し、業界全体の発展にも寄与しました。

受賞・栄典

1985年、長年の土木工学への貢献が認められ、土木学会功績賞を受賞しました。また、1974年には、その功績に対し藍綬褒章が授与されました。

人物

水越達雄は、卓越した技術力とリーダーシップを持ち合わせ、数々の難プロジェクトを成功に導いた人物として知られています。また、その温厚な人柄から多くの人々に慕われ、業界内外から尊敬を集めていました。日本の電力インフラ整備に多大な貢献をした、まさに日本の電力史に名を刻む偉人と言えるでしょう。

主な役職

東京電力 常務取締役
東京電力 最高顧問
東京電力 顧問
土木学会 会長
岩の力学連合会 理事長
日本コンクリート工学協会 会長
電力土木技術協会 副会長
常磐共同火力 社長・顧問

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