水野昭憲

水野 昭憲

水野 昭憲（みずの あきのり）は、日本の哺乳類学者です。生年は明らかになっていません。

経歴と学歴

水野氏は、京都大学大学院の修士課程を修了した後、金沢大学大学院に進み、博士号（社会環境科学）を取得しました。1999年に提出された博士論文の題目は、「白山地域におけるニホンカモシカの分布拡大と人間活動の変化」というもので、石川県の主要な自然地域における野生動物の生態と人間の関わりについて深く掘り下げた研究です。

石川県での貢献

水野氏は、学問的な探求と並行して、実務家としても長年にわたり自然保護の現場に貢献しました。特に、石川県の職員として約25年間勤務した経験は特筆されます。県庁の自然保護課に所属し、地域の自然環境保全に尽力しました。その中でも重要な業績の一つに、白山自然保護センターの設立への貢献が挙げられます。このセンターは、白山地域の豊かな自然を守り、研究するための拠点として重要な役割を果たしています。

さらに、水野氏は石川県立自然史資料館の館長も務めました。資料館の運営を通じて、地域の自然史に関する知識の普及啓発や研究資料の収集・管理に貢献しました。

国際的な活動

石川県での職務経験の一環として、水野氏は国際協力事業団（JICA）から専門家として派遣され、国際的な自然保護活動にも深く関わりました。エチオピアやマレーシアといった国々において、野生動物の保護管理や国立公園の整備といった重要なプロジェクトに従事しました。これらの海外での活動期間は通算8年にも及び、開発途上国における自然保護の課題解決に向けて、その専門知識と経験を活かしました。こうした国際的な視野を持つことは、国内の自然保護活動においても多角的な視点をもたらすこととなりました。

研究と調査活動

水野氏の専門は動物生態学であり、特に哺乳類の研究に重点を置いています。国内では、金沢大学が金沢城内から角間キャンパスへ移転する際の環境アセスメントに関わるなど、地域の開発と環境保全の両立に関する実務にも携わりました。この縁から、地域の自然を学ぶ「里山自然学校」の活動にも参加しています。

具体的な研究テーマとしては、共同研究によるフサオマキザルの採食行動に関する論文があります。これは、サルの知的な行動様式を観察し記録した興味深い研究です。また、森下正明という著名な研究者に関連する人物としても挙げられており、生態学の研究者コミュニティにおける位置づけが示唆されます。

さらに、水野氏は石川県の離島である舳倉島と七ツ島の自然環境調査にも深く関わりました。2008年5月に始まった北國新聞社の調査団において、動物班の班長を務めました。特に、2009年10月23日には、舳倉島で問題となっていたノネコ（feral cat）が弱った野鳥を捕食している状況に対し、その繁殖防止策に関与するなど、現実的な野生動物管理の問題にも取り組みました。これは、生態系のバランスを脅かす外来種や家畜化された動物が野生化した問題に対する、研究者かつ実務家としての対応を示す事例です。

水野昭憲氏は、長年の石川県職員としての経験を通じて地域自然保護の基盤を築き、国際的な舞台でも野生動物保護に貢献するとともに、哺乳類学者として具体的な研究活動や調査を通じて、国内外の自然環境保全に多角的に寄与してきた人物と言えるでしょう。

著書

『白山地域におけるニホンカモシカの分布拡大と人間活動の変化』（1999年）

主な論文

伊沢紘生, 水野昭憲 (1976). 賢いヤシの実の上手な食べ方: フサオマキザルで観察されたユニークな採食行動. モンキー 20 (1–2): 62-73.

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