永島春暁

永島春暁（ながしま しゅんぎょう）

永島春暁（生没年不詳）は、明治時代に活躍した浮世絵師です。

来歴

歌川芳虎の門人であり、姓は永島、名は福太郎。一説には芳虎の子であるとも言われています。虎重、春暁、朝華楼芳照と号し、竹林舎、麗斎、孟斎といった別号も用いました。

作画期は慶応から明治時代にかけてで、明治期に錦絵を多く残しています。神田紺屋町に居住し、玩具絵も手掛けたとされています。明治20年（1887年）に出版された「第三回内国勧業博覧会之図」には「春暁更（あらため）朝華楼芳照」の落款が見られますが、その後も「永島春暁」の名で作品を発表しています。

作品

永島春暁は、博覧会の様子や時事的な事件、風俗などを題材とした作品を数多く残しています。以下に代表的な作品を挙げます。

「朝鮮事件」 大判錦絵3枚続（静岡県立中央図書館所蔵）※明治15年、「永嶋虎重」の落款
「第三回内国勧業博覧会之図」 大判錦絵3枚続 ※明治20年、「春暁更朝華楼芳照」の落款
「第三回内国勧業博覧会」 大判錦絵3枚続（静岡県立中央図書館所蔵）※明治23年、「永島春暁」の落款
「上野公園第三内国勧業博覧会一覧之図」 大判錦絵3枚続（静岡県立中央図書館所蔵）※明治23年、「春暁更芳照」の落款
「上野公園風船之図」 大判錦絵（江戸東京博物館所蔵）※明治23年、「春暁」の落款。スペンサーのパラシュート降下を描いたもの。
「東京両国橋　川開大花火之図」 大判錦絵3枚続（江戸東京博物館所蔵）※明治23年、「永島春暁」の落款
「雅繪解武者雙六」 錦絵（東京学芸大学附属図書館所蔵）※明治24年、「永島春暁」の落款
「東京浅草寺并ニ公園地凌雲閣ノ高塔其他近傍吾妻橋遠景之真図」 大判錦絵3枚続（静岡市立中央図書館所蔵）※明治24年、「孟斎春暁」の落款
「朝鮮豊島近海激戦日軍艦隊大勝利の図」 大判錦絵3枚続（静岡県立中央図書館所蔵）※明治27年、「孟斎春暁」の落款
「日清交戦朝鮮成歓役分捕品ノ図」 大判錦絵3枚続（静岡県立中央図書館所蔵）※明治27年、「春暁」の落款
「皇孝孝明天皇三十年祭遥拝式奉行有志者群拝盛況之図」 大判錦絵3枚続 ※明治30年、「永島春暁」の落款
「東京勧業博覧会前景之図」 大判錦絵3枚続（サントリー美術館所蔵）※明治40年

これらの作品から、永島春暁は、明治時代の社会情勢や風俗を鮮やかに描き出した浮世絵師であったことがわかります。

参考文献

井上和雄 『浮世絵師伝』 渡辺版画店、1931年 ※国立国会図書館デジタルコレクションに本文あり
吉田漱 『浮世絵の見方事典』 北辰堂、1987年 ※161頁

関連項目

浮世絵
歌川芳虎

もう一度検索