永嶺重敏

永嶺重敏

永嶺重敏（ながみね しげとし、1955年 - ）は、出版文化・大衆文化研究家として知られています。鹿児島県に生まれ、九州大学文学部史学科を卒業後、図書館短期大学別科を修了。東京大学経済学部図書室をはじめ、法学部附属明治新聞雑誌文庫、史料編纂所図書室、駒場図書館、情報学環図書室、文学部図書室など、東京大学の様々な図書館で長年にわたり勤務しました。

研究分野と業績

永嶺氏の研究は、近代日本の出版文化、読書文化、メディア史、大衆芸能史といった多岐にわたる分野をカバーしています。特に、明治時代から昭和初期にかけての活字メディアと読者の関係、都市における読書空間の変遷、大衆文化の興隆に焦点を当てた研究で高い評価を受けています。

その業績は数々の受賞歴にも表れており、1997年には『雑誌と読者の近代』で日本出版学会賞と国立大学図書館協議会賞を、2001年には『モダン都市の読書空間』で日本図書館情報学会賞を受賞。さらに、2006年には『怪盗ジゴマと活動写真の時代』で内川芳美記念マス・コミュニケーション学会賞と日本児童文学学会奨励賞を受賞しています。

日本出版学会、日本メディア学会、メディア史研究会、芸能史研究会といった学会にも所属し、研究活動を精力的に行っています。

著書一覧

永嶺重敏は、数多くの著書を執筆しており、その研究成果を広く社会に発信しています。以下に主な著書を挙げます。

『雑誌と読者の近代』日本エディタースクール出版部、1997年
『モダン都市の読書空間』日本エディタースクール出版部、2001年
『“読書国民”の誕生―明治30年代の活字メディアと読書文化』日本エディタースクール出版部、2004年
『読書国民の誕生 近代日本の活字メディアと読書文化』講談社学術文庫、2023年
『독서국민의탄생:근대 일본, 책 읽는 국민을 만들다（韓国語訳）』푸른역사、2010年
『怪盗ジゴマと活動写真の時代』新潮新書、2006年
『東大生はどんな本を読んできたか 本郷・駒場の読書生活130年』平凡社新書、2007年
『流行歌の誕生 「カチューシャの唄」とその時代』吉川弘文館、2010年
『オッペケペー節と明治』文藝春秋、2018年
『「リンゴの唄」の真実ー戦後初めての流行歌を追う』青弓社、2018年
『歌う大衆と関東大震災―「船頭小唄」「籠の鳥」はなぜ流行したのか』青弓社、2019年
『明治の一発屋芸人たち―珍芸四天王と民衆世界』勉誠出版、2020年
『歌う民衆と放歌高吟の近代―放歌民衆から唱歌・軍歌を歌う国民へ』勉誠出版、2022年
『演じ謡い語る民衆と紳士の近代―明治の素人芸能文化』（Kindle版）、2024年
『中世ヨーロッパの書物と読者と図書館―1980年代論文復刻集成』（kindle版）、2024年
『工場労働者と農村の読書文化史―復刻論文集成』（Kindle版）、2025年

これらの著書を通じて、永嶺氏は近代日本の文化史における重要なテーマを掘り下げ、新たな視点を提供し続けています。

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