永平広録

『永平広録』とは

『永平広録』は、日本の曹洞宗の創始者である道元の著作であり、彼の教えをまとめた重要な語録です。この書は全10巻から成り、「道元和尚広録」や「永平道元和尚広録」という正式名称でも知られています。出版される内容は、道元が行った公式な説法や詩、教えを含むもので、特に研究や実践において重要な役割を担っています。

構成

この書物は、以下のように整理されています。

• - 巻一から巻七：この部分では、嘉禎2年（1236年）から建長4年（1252年）にかけて、深草や越前の寺々で行われた正式な説教が収められています。これらの内容は、道元の宗教的な思想や教えの核心を伝えるものです。
• - 巻八：ここには、前述の期間内に行われた小集まりや法語が収録されています。
• - 巻九：この巻には、興聖寺で行われた頌古（先人の教えを賛美する詞）を収めています。
• - 巻十：この部分では、道元が南宋への留学中から永平寺に至る経過での真賛、自賛、偈頌が記録されています。

なお、後世には『普勧坐禅儀』や『坐禅箴』が追録されています。

編纂と筆写

『永平広録』の筆写を行ったのは、道元の侍者たちである懐奘、義演、詮慧です。彼らは道元の教えを忠実に記録することに努めました。特に、慶長3年（1598年）の奥書が付された永平寺の20世・門鶴が筆写した「門鶴本」が重要視され、この本の写本やその系統も存在します。さらに、慶長8年に作成された「長護本」、寛文13年（1673年）に卍山道白によって校訂された「流通本」など、さまざまなバリエーションが残っています。

関連書籍

『永平広録』には、その内容をコンパクトにまとめた『永平元禅師語録』や、特定の巻を刊行した『永平元和尚頌古』も関連深い資料とされています。これらの書物も道元の思想理解のためには重要です。

現代の研究

この重要な語録は、現代でも多くの研究や解釈が行われ、数々の訳注や註解本が刊行されています。たとえば、伊藤俊光が編纂した『永平広録註解全書』や、武井哲応の『永平広録私抄』、そして横井雄峰による『永平広録 - 訳注 - 』などがあります。これらは、道元の思想を現代に生かすために重要なリソースです。

まとめ

『永平広録』は道元の教えを知り、理解するうえで欠かせない文献です。今に伝わるその言葉は、多くの人々に影響を与え続けています。特に曹洞宗の信者にとっては、心の支えとなるものであり、その教えは今日もなお生き続けています。

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