普勧坐禅儀

書籍『普勧坐禅儀』について

『普勧坐禅儀』は、日本の曹洞宗を開いた道元によって書かれた坐禅に関する重要な著作です。この書は、嘉禄3年（1227年）に道元が南宋から帰国後、初めて著したもので、1巻から成り立っています。『大正新脩大蔵経』の「続諸宗部」82巻に収められており、番号2580に指定されています。

執筆の背景

『普勧坐禅儀撰述由来』によると、道元は依頼を受けて『禅苑清規』を参考にしながらこの著作を執筆したとされています。執筆の場所については、博多の聖福寺や紀州の西方寺、建仁寺など複数の説がありますが、確定的な情報はありません。

この書は、同じ年に書かれた嘉禄本、また天福元年（1233年）に深草・観音導利興聖宝林禅寺で道元が推敲した天福本、さらに『永平広録』に収められたものが存在します。特に『永平広録』に収録された「普勧坐禅儀」には、流布本と呼ばれる2種類があり、大圓門鶴が写した門鶴本と、卍山道白が校訂して刊行した卍山本が有名です。

現在の位置づけ

2025年現在、国宝に指定された永平寺所蔵の天福本は、道元自身が嘉禄本を浄書したもので、1852年に古筆了伴の寄進によって永平寺へと寄贈されました。国宝指定は1952年に行われ、1969年には横井覚道の監修のもとで印刷複製が作られ、広く頒布されています。

書の内容

この書は、大きく3つの部分に分けられます。

1. 序文 では、坐禅の重要性とその意義について述べられています。
2. 正宗分 は、坐禅を行う際の環境や具体的な坐り方について解説されています。
3. 流通分 では、坐禅の実践内容が詳しく書かれています。

現代語訳と出版物

『普勧坐禅儀』は多くの現代語訳や解説書が存在しています。1925年には忽滑谷快天による『普勧坐禅儀講話』が出版され、以降も原田祖岳や古田紹欽、内山興正など、多くの著作者による解説書が出されています。これにより、道元の教えが広まり、現代における仏教実践者にも受け入れられています。

まとめ

『普勧坐禅儀』は、坐禅の実践を促進するための重要な書であり、道元の深い思索と教えが詰まっています。日本の禅宗における根幹をなすこの書を通じて、坐禅の世界に触れることが可能となります。道元の教えは時代を超え、多くの人々に影響を与え続けています。

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