永忠

永忠（えいちゅう/ようちゅう）

永忠（えいちゅう/ようちゅう、天平15年（743年） - 弘仁7年4月5日（816年5月5日））は、平安時代初期に活躍した日本の僧侶です。俗姓は秋篠氏を名乗りました。

生涯

永忠は京都で生まれ、幼い頃に出家し、奈良で経律を学びました。宝亀年間（770年 - 780年）の初め頃に唐へ渡り、長安の西明寺などで研鑽を積みました。同時期に留学していた最澄の身の回りの世話をし、延暦24年（805年）に最澄と共に帰国を果たします。

帰国後の大同元年（806年）正月には、度者2人を賜り、同年4月には律師に任ぜられました。その後も順調に昇進し、弘仁元年（810年）に少僧都、弘仁6年（815年）には大僧都に任ぜられています。

また、『元亨釈書』によれば、帰国後には勅命を受け、近江国滋賀韓崎にあった梵釈寺を管理しました。弘仁6年（815年）に嵯峨天皇が梵釈寺に行幸した際、永忠は自ら茶を煎じて献上したとされています。これは、日本の記録に残る最初の「茶事」として知られています。

翌弘仁7年（816年）には、唐から持ち帰った「律呂旃宮の図」2巻、「日月の図」2巻、律管、塤（つちぶえ）を朝廷に献上し、74歳でこの世を去りました。著作としては『五佛頂法訣』が知られています。

永忠は、仏教の普及に貢献しただけでなく、日本の喫茶文化の黎明期を飾る人物としても、その名を歴史に刻んでいます。

参考文献

『日本後紀』（黒板勝美編『新訂増補国史大系』所収、吉川弘文館、1974年）
『元亨釈書』（今浜通隆訳、教育社新書、1980年）
『本朝高僧伝』（仏書刊行会編『大日本仏教全書』所収、名著普及会、1987年）

外部リンク

徐静波「<特集>中国におけるお茶文化の展開とその日本への初期伝来」『京都大学生涯教育学・図書館情報学研究』第10巻、京都大学大学院教育学研究科生涯教育学講座、2011年3月、153-163頁
https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/140365/1/ELS_10_153.pdf

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