永昌府

永昌府は、現在の中国雲南省保山市一帯に、南詔時代から民国初期にかけて存在した地方行政区画です。

南詔・大理国時代

永昌府は、南詔により設置されました。その後、大理国時代にも引き続き永昌府として存続しました。この時期の永昌府の具体的な統治範囲や行政組織については、詳細な記録が残っていませんが、この地域が政治的に重要な拠点であったことは確かです。

元朝時代

1257年（憲宗7年）、モンゴル帝国（元）がこの地域に進出し、永平県に千戸が置かれました。その後、1274年（至元11年）には、永平県に永昌州が設置されます。そして1278年（至元15年）には、永昌州は永昌府に昇格しました。この時、永昌府は雲南等処行中書省に属し、永平県一県を管轄しました。この時期から、永昌府は元朝の地方行政機構に組み込まれ、政治的・軍事的に重要な役割を担うことになります。

明朝時代

1382年（洪武15年）、明朝が成立すると、永昌府は永昌軍民府と改められました。さらに1385年（洪武18年）には、金歯衛が兼置されました。しかし、1390年（洪武23年）には永昌軍民府が廃止され、金歯衛が金歯軍民指揮使司に昇格しました。その後、1522年（嘉靖元年）には、金歯軍民指揮使司が廃止され、再び永昌軍民府が置かれました。この時、永昌軍民府は雲南省に属し、保山・永平の2県に加え、騰越州、潞江安撫司、鎮道安撫司、楊塘安撫司、瓦甸安撫司の4安撫司、鳳渓長官司、施甸長官司、茶山長官司の3長官司を管轄しました。この時期には、周辺の少数民族に対する統治機構も整備され、地域全体がより強固に明朝の支配下に入りました。

清朝時代

1765年（乾隆30年）、清朝は永昌軍民府を永昌府に改めました。この時、永昌府は雲南省に属し、保山県、永平県、竜陵庁、騰越庁の2庁2県に加え、孟定土府、湾甸土州、鎮康土州の1土府2土州、孟連宣撫司、南甸宣撫司、隴川宣撫司、干崖宣撫司の4宣撫司、盞達副宣撫司、潞江安撫司、芒市安撫司、勐卯安撫司の3安撫司、戸撒長官司、臘撒長官司の2長官司を管轄しました。この時期には、土司制度が導入され、土着の有力者が地方行政を担うようになりました。この制度は、清朝の辺境統治政策の一環として、地域社会の安定に寄与しました。

中華民国時代

1913年、中華民国が成立すると、永昌府は廃止されました。これにより、永昌府の歴史は終わりを告げました。

永昌府は、時代ごとにその形態を変えながらも、この地域の歴史と文化を育んできました。南詔から元、明、清、そして中華民国へと移り変わる激動の時代の中で、この地域は常に重要な役割を担っていたと言えるでしょう。永昌府の存在は、中国の地方行政史を理解する上で、非常に重要な要素です。

もう一度検索