永田熊吉

永田 熊吉（ながた くまきち）の生涯

永田熊吉は、天保6年（1835年）に生まれ、明治33年（1900年）に亡くなった幕末から明治時代の日本の重要な人物の一人です。鹿児島の西郷家に仕えた彼は、西郷隆盛の忠実な家人として知られています。彼の父、永田熊次郎も西郷家に仕えており、熊吉は鹿児島城下の加治屋町で育ちました。熊吉の仕事は、元々は西郷家の下男として始まったものの、西郷が江戸や京都への滞在中には、西郷家全体の管理を任されるほどの信頼を得ていました。

早年期から戊辰戦争まで

西郷が沖永良部島に流された際、熊吉は鹿児島城の御庭方として働き、家計を支えました。戊辰戦争の最中、熊吉は西郷と共に江戸城無血開城に向けての重要な会談にも参画しました。この会談では、西郷と勝海舟が協議を行い、熊吉はその場に同座し、薩摩藩の蔵屋敷に行った記録が残されています。長岡山の戦いでは、仲間を助けようとした際に負傷し、彼の勇敢な行動が後に「西郷隆盛一代記」に記されています。

明治時代の活躍

明治維新を迎えた後、西郷は明治政府に呼ばれ、熊吉は西郷邸に住み、身の回りの世話や金銭管理などの任務を担いました。西郷が征韓論を理由に下野し、鹿児島に帰る際には、日本橋の土地や建物の売却を手助けしました。また、西南戦争においても西郷に同行し、彼の弟、西郷従道のもとへ脱藩して投降する際には、重傷を負った仲間を背負うなど、彼の献身的な姿勢が引き立っています。

西郷の死後

西郷隆盛が亡くなった後、熊吉は西郷家に仕え続け、川口雪篷と共にその家計を支えました。明治19年（1886年）、西郷従道の招きで再び上京し、目黒の従道邸に住むようになりました。そこで庭師として活躍し、現在の西郷山公園や菅刈公園の基礎を築いたとされています。彼の影響力は、加治屋町の開拓にも及びました。

死去と子孫

熊吉は明治33年（1900年）に65歳で亡くなり、彼の墓所は東京の青山霊園にあります。彼の子孫には、現在、東京歯科大学で教授を務める村松敬がいます。熊吉の生涯は、西郷家の歴史と密接に関連しており、彼の生き様は、忠誠心と献身の象徴でもあります。

エピソードと登場作品

熊吉にまつわるエピソードは多く、特に西郷隆盛との思い出や彼の行動に関する逸話がいくつか残されています。馬場祿郎の著書によると、江戸城無血開城に向けた会談の際、勝海舟に江戸前寿司をご馳走された経験があります。また、明治天皇の西国巡幸に同行した際、天皇の姿に感動し涙を流したというエピソードも有名です。彼の存在は、数多くのメディア作品でも描かれており、特にNHKの大河ドラマ『西郷どん』で取り上げられています。

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