荻須高徳

荻須高徳について

荻須高徳（おぎす たかのり、1901年11月30日 - 1986年10月14日）は、日本を代表する洋画家であり、主にフランスのパリを基地に活動していた。彼は愛知県中島郡（現・稲沢市）で地主の子として生まれ、高等学校を卒業後、1921年に上京し、川端画学校で藤島武二に師事しながら画家としての道を歩み始めた。その後、東京美術学校（現・東京藝術大学）の西洋画科に進学し、1926年に卒業と同時に渡仏した。

初期の作品と影響

渡仏後、荻須はフランスで多くの画家たちと交流を持つようになり、特に佐伯祐三との写生旅行が彼の画風に大きな影響を与えた。この初期の作品は、荒々しいタッチで描かれたパリの街角や店先が特徴であり、ヴラマンクやユトリロの影響を受けたものであった。しかし、時間が経つにつれ、彼のスタイルは変化し、より穏やかで構成の美しさを追求するようになった。彼の初期の成功の一つは、1928年のサロン・ドートンヌへの入選であり、これによりフランスの美術界での評価が高まることとなった。

成熟した作風と栄光の瞬間

彼の最初の個展は1934年にジュネーヴで開催され、当時の彼の作品は静寂さと落ち着いた色調が特徴的だった。この頃から、荻須の作品は徐々にその独自性を強め、彼自身の個性を映し出すものとなっていった。1936年にはサロン・ドートンヌの会員に推挙され、フランスでの地位を確立する。その後、戦争の影響で日本に一時帰国することとなったが、この時に出品した作品がパリ市に買い上げられるという成果を収めた。

戦後の活動と評価

終戦後の1948年、荻須は日本人画家としては初めてフランス入国を許可され、再びパリでの創作活動を再開する。1981年にはフランス国立造幣局が彼の肖像を彫り込んだメダイユを発行し、同年には文化功労者に選ばれた。また、シラク・パリ市長は荻須を「最もフランス的な日本人」と称賛した。10年ぶりに帰国した際には、出身地である稲沢市を訪れ、荻須記念美術館の建設地も見学した。

最期と遺産

荻須高徳は1986年、84歳でパリのアトリエで制作中に倒れ、永遠の眠りについた。死の一週間前には文化勲章受章が内定され、死後にその章が追贈された。彼の墓はパリのモンマルトル墓地にある。

主な作品リスト

• - 『広告塔』（1928）
• - 『サン・タンドレ・デザール広場』（1938） - ポンピドゥーセンター所蔵
• - 『モンマルトル裏』（1940） - 東京国立近代美術館収蔵
• - 『パリの屋根』（1950）
• - 『金のかたつむり』（1978） - 稲沢市荻須記念美術館収蔵

受賞歴

荻須は多くの賞を受けており、その中には1956年のレジオン・ド・ヌール勲章、1972年の勲三等旭日中綬章、1981年の文化功労者、1986年の文化勲章が含まれる。

もう一度検索