江ノ電バス横浜営業所

江ノ電バス横浜営業所は、神奈川県横浜市港南区上大岡西に所在する、江ノ電バス株式会社が運営するバス営業所です。かつては江ノ島電鉄の自動車部の一部門でしたが、2007年 12月1日に株式会社江ノ電バス横浜として分社化された際に同社の営業所となり、その後2019年 4月1日に親会社の江ノ電バスと合併したことで、現在の江ノ電バスの営業所となりました。

この営業所が管轄する主な営業エリアは横浜市港南区と磯子区ですが、一部の路線は同市栄区や鎌倉市にも乗り入れています。横浜市営バスと運行区間が重複する路線が多く存在するため、運賃は横浜市営バスに合わせて多くの路線で均一料金（220円）が採用されています。ただし、船05系統やA21系統の一部の区間（港南車庫入口から日野公園墓地入口を経由し上大岡駅前に至る間を除く）では区間制運賃が適用されています。

沿革

江ノ電バス横浜営業所の歴史は、1956年（昭和31年）に江ノ島鎌倉観光自動車部のバス営業所として、横浜市南区の弘明寺バス停付近に開設されたことから始まります。翌1957年（昭和32年）には、現在の所在地である港南区上大岡西に移転し、旧営業所は弘明寺案内所として利用されました。1969年（昭和44年）には栗木バス停付近に栗木車庫が開設されますが、1975年（昭和50年）に鎌倉営業所に統合され、その横浜支所となります。しかし、わずか5年後の1980年（昭和55年）には再び分離され、横浜営業所として独立しました。栗木車庫は1992年（平成4年）に廃止されています。

その後の主な動きとして、2007年 3月18日のPASMOサービス開始と同時に管内での利用が可能となりました。そして、先述の通り2007年 12月1日には株式会社江ノ電バス横浜が発足し、当営業所はその中核を担う存在となります。2008年 7月27日には磯子駅と上大岡駅を結んでいた屏風ヶ浦線が廃止されました。2019年（平成31年/令和元年）には、4月1日に江ノ電バス横浜が江ノ電バスと合併し、当所は改めて江ノ電バスの営業所となりました。同年12月1日には、一般路線バスに系統番号が導入され、利用者の利便性向上が図られています。また、同月16日には栗木線の横浜駅発着便が廃止されています。

現行路線

横浜営業所が担当する路線は、横浜市南部の丘陵地帯に開発された団地や住宅地へ向かうものが多くを占めます。近年では、これまでバスの通行が困難だった狭い道路を走るミニバス路線も運行されています。各路線には2019年 12月1日に導入された系統番号が付与されています。

乗降方式は、均一運賃区間内を運行する路線では「前乗り中降り・運賃先払い」方式が基本です。一方、大船・鎌倉方面へ向かう路線など、対キロ制運賃となる区間を含む場合は、乗車時に行き先を申告する信用乗車方式が採用されています。

主な現行路線は以下の通りです。

上大岡 - 大船 - 鎌倉線: 船05系統（横浜線）とA21系統（上大岡 - 鎌倉線）があり、特に船05系統は横浜営業所が多くの便を担当し、ほとんどの区間で鎌倉街道を走行します。A21系統は本数が少なく、運行がない時間帯は神奈中バスを含む大船駅までの各路線や大船駅 - 鎌倉駅線で補完されます。正月期間には鎌倉駅周辺の交通規制に伴い、SA9系統として鎌倉八幡宮前までの運行となる場合があります。上大岡駅 - 大船駅間では、神奈川中央交通の船05・船20系統と同一区間を運行しますが、両社間での共通定期券や回数券の取り扱いはありません。
氷取沢線・栗木線: 上大岡駅から笹下釜利谷道路を南下し、磯子区南部の団地へアクセスする路線です。上大岡駅発着の循環運行が主体ですが、一部には団地周辺で終点となる夜間便も存在します。磯子駅発着は朝に1本のみ運行される磯子台団地始発便があります。路線名は磯子区氷取沢町に由来し、栗木線（A32系統）の上大岡駅 - 栗木間は現在も運行されています。
上大岡 - 洋光台線 (関ノ上経由): 上大岡駅と洋光台駅を結びます。日野公園墓地入口経由便は洋光台駅発の休日1便のみの運行です。過去には循環路線でしたが、2008年に洋光台駅行きに再編されています。一部区間は横浜市営バスも運行しています。
上大岡 - 洋光台線 (桜道・プラウドシーズン経由): こちらも上大岡駅と洋光台駅を結びますが、狭隘路が多い住宅地を経由します。そのため、日野ポンチョなどの小型バスが使用され、運転士同士が無線で連絡を取り合いながら運行しています。夕方には桜道坂上周辺の利用者のために雑色までの区間便があり、回送ルートも存在します。2024年3月にはダイヤ改正が行われ、一部系統が統合されています。
栗木 - 洋光台線: 平日朝に洋光台駅方面へ1本のみ運行される系統です。小型バス（ポンチョ）が使用され、始発停留所への回送ルートには横浜市営バスの区間が含まれます。京浜急行バスもこの区間を運行しており、停留所名の表記が異なります。
洋光台 - 三井団地 - 磯子線: 洋光台駅と磯子駅を、狭隘路が多い住宅地を経由して結ぶ路線です。鉄道駅から距離のある地域を結ぶため終日利用者があり、コミュニティバスのような役割も担っています。小型バス（ポンチョ）で運行され、朝夜には出入庫を兼ねた区間便も設定されています。

廃止路線

過去には以下の路線が運行されていました。

Y3系統（栗木線横浜駅発着便）: 2019年 12月16日に廃止。横浜駅と栗木を結んでいましたが、上大岡駅 - 栗木間の区間便（A32系統）は存続しています。横浜駅発着便は、沿線から乗り換えなしで横浜市中心部へ行けるという利便性がありました。横浜駅周辺での経路は往復で異なっていました。
屏風ヶ浦線: 磯子駅 - 屏風ヶ浦駅 - 打越 - 上大岡駅を結んでいましたが、2008年 7月27日に廃止されました。横浜市営バスの廃止された系統の一部経路を踏襲していました。現在、廃止区間の一部は他の路線（三井団地線など）がカバーしています。
* 横浜 - 江ノ島線、杉田線、洋光台磯子線、明治学院大学南門線 なども過去に運行されていましたが、廃止されています。

車両

横浜営業所に所属する車両には、社番の頭に「3」が付く3桁の番号が付与されています。かつては藤沢営業所と同様に日産ディーゼル製車両が中心で、長尺車が多く導入されていました。一時期は小型化された時期もありましたが、近年は再び大型車の導入が進められており、ノンステップバスも配置されています。UDトラックスがバス事業から撤退して以降、湘南営業所とは異なり、大型車は三菱ふそう製のみが導入される傾向にあります。三菱ふそうからのOEM供給車であるスペースランナーAや、横浜営業所では初めてとなる中扉四枚折戸装備のエアロスターなどが導入されています。桜道線や三井団地線といった狭隘路を走る路線には、日野ポンチョのような小型車が専属で配置されています。

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