江橋厚

江橋厚（えばし あつし）は、嘉永7年（1854年）に常陸国茨城郡水戸下市（現在の茨城県水戸市）で生まれ、昭和6年（1931年）に没した、日本の政治家であり弁護士です。衆議院議員としても活躍しました。

生い立ちと投獄

江橋厚は、水戸で生まれました。明治5年（1872年）には、水戸城放火事件の嫌疑を受け投獄されます。しかし、明治9年（1876年）1月には嫌疑が晴れて釈放されました。この事件は、江橋の人生に大きな影響を与えた出来事だったと考えられます。

松本での弁護士開業と自由民権運動

明治11年（1878年）頃、江橋は水戸から信州の松本に移り住み、弁護士を開業しました。この頃、自由民権運動が盛んになり、江橋も奨匡社の運動に参加しました。明治15年（1882年）には、同志と共に信陽立憲改進党を結成し、政治活動に本格的に乗り出します。

衆議院議員としての活動と辞職

明治23年（1890年）、江橋は第1回[[衆議院議員総選挙]]に長野県3区から初当選を果たしました。民党に所属し、政治家としてのキャリアをスタートさせます。しかし、第1回帝国議会での予算議決が紛糾すると、板垣退助に同道して議員を辞職するという決断をします。これは、江橋の政治姿勢を示す重要な出来事でした。

その後の活動

議員辞職後も、江橋の活動は続きます。明治24年（1891年）には、中山道鉄道期成同盟会で小里頼永とともに運動を展開し、自由党南信支部設置の際には座長に推挙されました。また、明治29年（1896年）には、後藤象二郎らと自由党の分派行動を図ったとして非難を受けますが、それに先んじて脱党しています。このように、江橋は常に政治の最前線で活動し、時には既存の枠組みにとらわれない行動も見られました。

江橋厚は、激動の明治時代から昭和初期にかけて、政治家、弁護士として活躍し、その生涯を通して日本の民主主義の発展に貢献しました。彼の足跡は、現代を生きる私たちにとっても、多くの示唆を与えてくれます。

参考文献

篠田正作編『明治新立志編』鍾美堂、1891年。
『東筑摩郡・松本市・塩尻市誌 別篇』1982年。
衆議院・参議院『議会制度百年史 - 衆議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年。
『20世紀日本人名事典』日外アソシエーツ、2004年。

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