茨城郡

茨城郡（いばらきぐん）とは

茨城郡は、かつて茨城県（常陸国）に存在した郡です。その領域は、現在の水戸市、笠間市、常陸大宮市の一部、小美玉市の一部、東茨城郡の城里町、茨城町の一部、大洗町の一部、そして桜川市の北部にまたがっていました。ただし、これらの区域は行政区画として正確に画定されたものではありません。

郡域の変遷

大化の改新以前、この地域は茨城国造の領域でした。律令制が施行されると、南部が行方郡や河内郡として分立し、常陸国茨城郡が成立しました。郡の中心は現在の石岡市に置かれ、常陸国の国府もこの地にありました。しかし、平安時代末期以降、荘園の分立や郡の分割が進み、茨城郡の領域は変化していきます。

近世初期の検地で、現在の茨城郡の領域がほぼ確定しました。この時、那珂郡の一部が編入される一方で、南部の常陸府中（現在の石岡市周辺）は新治郡に編入されました。このように、近世以降の茨城郡は、律令時代の茨城郡よりも領域が北に移動しています。元禄期の検地では、西那珂郡（現在の桜川市岩瀬地域）を吸収しました。

近代以降の沿革

明治時代に入ると、茨城郡は大きな変革期を迎えます。所属町村の変遷は複雑であり、東茨城郡と西茨城郡の沿革を参照する必要があります。

明治初年の「旧高旧領取調帳」によると、この地域には幕府領、旗本領、水戸藩、宍戸藩、府中藩、麻生藩、土浦藩、笠間藩、陸奥守山藩などが存在していました。1868年、幕府領や旗本領は常陸知県事の管轄となり、その後、若森県、水戸県、石岡県などの変遷を経て、1871年に全域が茨城県の管轄となりました。

そして、1878年、郡区町村編制法が施行され、茨城郡は東茨城郡と西茨城郡に分割され、その歴史を終えました。東茨城郡は水戸上市を含む1町179村、西茨城郡は笠間町を含む1町104村から構成されました。

まとめ

茨城郡は、古代から中世、近世、そして近代へと、その姿を変えながら存在した郡です。律令制下で成立し、荘園の分立や郡の分割、そして明治維新による廃藩置県を経て、東茨城郡と西茨城郡に分割されました。この地域は、茨城県の歴史を語る上で重要な役割を果たしています。




参考文献

「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典』 8 茨城県、角川書店、1983年12月1日。ISBN 4040010809。
旧高旧領取調帳データベース

関連項目

消滅した郡の一覧

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