江馬時成

江馬 時成の生涯と功績

江馬時成（えま ときなり）は、戦国時代に活躍した武将で、遠江曳馬城の城主である飯尾氏に仕官していました。時成の人生は、当時の激しい戦乱の中でたくましく生き抜いた一幕であり、彼の選択と行動は後の歴史に大きな影響を与えることとなります。

戦の初期

永禄7年（1564年）、今川氏真が三河吉田へ出陣した際、時成は飯尾連龍の配下として軍に参加しました。この戦闘の中で、彼は連龍に松平（後の徳川）家康と連携を取るよう諫言し、自ら家康への使者として岡崎城に向かいました。その結果、連龍は今川軍の後方に火を放ち、混乱の中で曳馬城へと帰っていきました。この計画は成功を収め、今川軍は撤退することになりました。

曳馬城の防衛

翌年の永禄8年（1565年）、今川軍が曳馬城を攻撃した際、時成は松平氏から派遣された援兵と共に防戦に努めました。この戦いでは、特に時成の家臣である小野田彦右衛門が活躍し、飯尾長門守を討ち取ることに成功しました。しかし同年、連龍は駿府で陰謀により命を落としてしまいます。

徳川家への恭順

連龍の死後、時成はその遺命に従い、従弟の江馬泰顕と共に徳川氏に恭順を示しました。永禄9年（1566年）には嫡子の一成を人質として差し出し、曳馬城の防衛を任され、さらには本領1220貫文の安堵を受けました。

二度目の攻撃と内紛

永禄11年（1568年）、再び今川軍が曳馬城を攻撃。この時、時成は徳川から本多信俊、渡辺守綱、中根利重などの援軍を受け、城を守る体制を整えました。しかし、今川軍は江馬泰顕の裏切りを誘惑し、在城の時成は表向き同意しつつ、家康への報告を行うという計略を巡らせました。

この混乱の中、家康の遠江侵攻が伝わると、泰顕は新藤周防守と共に徳川軍に対抗しようとしましたが、時成はこれに反対し、逆に家康を曳馬城に迎え入れるべきだと考えていました。やがて、泰顕は時成を密かに殺害し、その後彼もまた小野田彦右衛門に討たれることとなります。彦右衛門はその後、城から逃れ徳川軍に合流し、その経緯を家康に報告しました。

江馬家の行く末

その後、江馬家の家督は、徳川氏の人質として城に残されていた一成が継承することになりました。このように、時成の生涯は家族や忠義、そしてその後の幕府成立に寄与した多くの事件で彩られています。時成の選択や行動は、戦国の激流の中で一つの物語を描き、多くの武将たちの行動に示唆を与えるものでした。

時成の功績は、彼自身の忠義心だけでなく、彼が築いた人間関係や戦略的な判断からも多くの教訓を得ることができます。江馬時成の物語は、ただの戦国時代の武士の一生ではなく、その時代の気運と人々の葛藤を象徴していると言えるでしょう。

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