江馬時盛

江馬 時盛（えま ときもり）

江馬時盛は、戦国時代から安土桃山時代にかけて活動した日本の武将で、飛騨国の国人の一人として知られています。彼の生涯や出自、そして家族との関係について、歴史的背景を踏まえながら考察することができます。

出自と背景

江馬は江間氏の一族であり、飛騨の地元に根付いて活動していました。彼の家系は姉小路氏とともに、飛騨地方での覇権を巡って幾度も対立しており、この争いは戦国時代の複雑な政治情勢を反映しています。特に、越後の上杉謙信と甲斐の武田信玄の間で繰り広げられた川中島の戦いが、飛騨国の武士たちに大きな影響を与え、彼らはこの地域においても両氏の間で離合集散を繰り返していました。

略歴

時盛の活動は特に永禄7年（1564年）に名を馳せました。この年、彼は三木嗣頼やその子である自綱、さらに江馬輝盛との対立に直面します。時盛は実弟の麻生野直盛と共に、武田氏の援助を受けて抵抗を試みました。この時期の状況は、江間輝盛の立場が曖昧であり、彼が時盛の実子であるかどうかについても異なる見解が存在しました。

『甲陽軍鑑』によれば、武田氏はこの年の6月に家臣を派遣し、飛騨の地での力関係を大きく変えようとしました。しかし、上杉謙信が川中島へ出陣すると、武田信玄は飛騨への出兵を取りやめ、これにより江間輝盛は武田氏に従い始めます。このように、時盛は武田を通じて自らの立場を強化しようとしたのでした。

元亀4年/天正元年（1573年）には、大きな転機が訪れます。この年の4月、武田信玄が死去し、江間輝盛はその後すぐに上杉氏と内通しました。この動きは時盛にとって致命的なものであり、歴史的記録によれば、時盛は殺害されることになります。江間氏の運命を大きく変える出来事であり、輝盛はその後、江間氏の主導権を掌握したと考えられています。

具体的には、『江馬家譜考』では時盛の死亡日時を天正元年7月16日とし、『円城寺家譜略考』や『飛州志備考』では月の15日としているなど、若干の誤差が生じているものの、いずれにせよ武家社会の厳しい権力闘争が背景にあったことは間違いありません。

江馬時盛の人生は、戦国時代の激動を体現したものであり、権力と忠誠、そして裏切りというテーマが絡み合った結果、彼の名は歴史の中に刻まれることとなりました。江間氏の家系が戦国の荒波の中でどのように展開していったのか、そしてその後の影響について考えることは、当時の日本の歴史を深く理解する手助けとなるでしょう。

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