池上四郎 (薩摩藩士)

池上 四郎の生涯

池上 四郎（いけのうえ しろう、1842年 - 1877年）は、幕末の薩摩藩士であり、後に明治時代の軍人として知られています。彼の本名は貞固で、通称として四郎左衛門を用いていましたが、明治時代には単に四郎と呼ばれました。

薩摩藩士としての経歴

鹿児島城下の樋之口通町に生まれ、薩摩藩の侍医である池上貞斎の長男として育ちました。家業を受け継ぐことを期待されながらも医術に興味を持たず、西郷隆盛や伊地知正治から勤王の精神を教えられました。1858年の安政の大獄の際、藩主 島津斉彬の指示で江戸へ遊学し、しばしば情勢を藩主に報告しました。

薩英戦争ではスイカ売り決死隊に参加するも失敗し、大門口砲台では英艦を撃退。その後、一時的に屋久島に派遣されました。戊辰戦争では東山道軍の結成後、参謀としてありとあらゆる戦闘に参加しました。特に、白河城攻防戦や会津若松攻城戦に対して重要な役割を果たしました。

明治政府時代

明治2年、鹿児島常備隊が設置されると、大隊の教官に任命されました。明治4年には、西郷隆盛や大久保利通らとの政府改革に関する会話に同席し、その際に陸軍少佐に任官されたが、持病のため免職されました。

1872年、征韓論に基づく軍事偵察に派遣され、池上は日本初の軍事偵察を行いました。この視察結果は『西南記伝』に記録されています。彼は満州の内部を探索し、1873年に帰国しましたが、この間に西郷隆盛の下野を知りました。

西南戦争での活躍

西南戦争が始まる1877年、池上は西郷の刺殺計画に憤慨し、挙兵を支持しました。彼は兵員募集や軍備の準備を統括し、出陣時には五番大隊の大隊長に任命されました。しかし、戦闘は厳しく、池上は熊本攻城戦を一手に指揮したものの、激しい戦闘の中で城を落とすことは叶いませんでした。

4月21日、薩軍は浜町に後退し、池上は本営参謀として軍の指導に専念しました。さらに、豊後地区に指揮をとりながら後方支援や医療活動を行いましたが、戦況は徐々に悪化し、最終的に鹿児島に避難しました。9月24日、城山陥落の際には西郷の自決を見届けた後、桐野や村田と共に進撃しましたが、途中で自ら命を絶ちました。

評価と人物像

池上四郎はその知恵や才覚から、戦場で高い評価を受けていました。『西南記伝』では、「彼は才幹に恵まれ、また韜略にも通じ、兵士の指導において厳格であった」とされています。特に、戊辰戦争や満州偵察、さらには西南戦争での多岐にわたる役割が評価され、彼の能力と決断力は戒められるほどでした。彼は酒豪でも知られ、満州偵察の際には焼酎を飲んで寒さをしのいでいたとも言われています。

池上四郎は、36年という短い生涯の中で、日本の歴史に名を刻む重要な人物となりました。今なお彼の功績は多くの文献やメディアで語り継がれています。

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