池広一夫

池広 一夫 (Kazuo Ikehiro) の軌跡

池広 一夫（いけひろ かずお）は、1929年10月25日に生まれ、日本の映画監督として特に知られています。義弟である脚本家の石松愛弘との関係も注目されています。

来歴

池広は東京府、現東京都に生まれました。彼の父親は大映の重役であり、製作部長や大阪支社長、東京撮影所所長などを歴任していました。早くから撮影所の近くで育った影響で、小学校時代には子役としても活動しました。東京の千歳中学校（後の千歳高等学校）を卒業し、立教大学経済学部に在籍していましたが、ここで映画研究会に加入し、映画監督を目指すことを決意しました。父親の反対を振り切って大映京都撮影所の助監督に応募し、1950年10月に入社しました。

助監督として森一生、溝口健二、市川崑らの指導を受けた後、1960年12月に『薔薇大名』で監督デビューを果たしました。その後、権力者を風刺した『天下あやつり組』は当時の政治状況と相まって大映の社長からの怒りを買い、助監督に降格させられましたが、悔いは持たず、後にチーフ助監督として『大菩薩峠』に参加し、実力を見込まれました。市川雷蔵の助けで『沓掛時次郎』を監督し、新しい股旅映画として高評価を受けました。

監督キャリアの高峰

1962年には、本来手掛けることになっていた『座頭市物語』の代わりに市川崑の意向で『破戒』のB班監督に就任しました。以降、彼は勝新太郎主演の『座頭市』シリーズや市川雷蔵主演の『眠狂四郎』シリーズなど、多くのプログラムピクチャーを制作し、大映時代劇の黄金期を築きました。特に『眠狂四郎女妖剣』（1964年）では独自の演出方法でヒットを生み出し、このシリーズの人気を支えました。

大映が倒産した後も映像京都に参加し、1971年の『片足のエース』では文部省青少年映画賞の最優秀賞を受賞したほか、東京映画製作の『無宿人御子神の丈吉シリーズ』の三部作などに取り組みました。その後もテレビドラマで幅広く活動し、最終的には1990年にスタートした土曜ワイド劇場内の『終着駅』シリーズで監督を務め、このシリーズは彼のライフワークとなりました。

映画とテレビドラマ

池広の映画作品には、1960年の『薔薇大名』、1961年の『沓掛時次郎』、1964年の『座頭市あばれ凧』などがあります。また、テレビドラマでは『木枯し紋次郎』や『子連れ狼』シリーズ、さらに『白い巨塔』など、多岐に渡るジャンルで数多くの作品を手掛けました。

人柄と評価

池広は自らの監督作品の中で『ひとり狼』と『おんな極悪帖』を特に高く評価しています。彼の独特の映画スタイルやストーリー構成は、多くの人々に影響を与えました。彼のキャリアは非常に多岐にわたり、映画界における重要な存在となっています。池広は2022年に放送された『終着駅』の最終作まで監督を務め、その足跡は日本の映画史に刻まれています。

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